復刻 絵本絵ばなし集 |
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「復刻 絵本絵ばなし集《は、78年、ほるぷ出版から刊行。
海ねこが惚れ込んでいる復刻シリーズです。何か良いものをとお探しの方、ぜひどうぞ。おすすめです。
編集委員 瀬田貞二 鳥越信 滑川道夫
以下、解説書、瀬田貞二さんの文章より引用します。
「わが国にして西洋の風をうけること、明治維新の後と、今次大戦の後と、
どちらが大きかったかはいえませんが、洋化が先には広く、今度は深く、
ともに生活のすみずみまでにわたった点はうたがいがありません。
絵本の姿も例外でなく、明治半ばからは洋紙洋装本になり、
現代では昭和二十四年から急激に外国絵本の紹介が始まり、その翻訳は年ごとに増えています。
そして、終戦後の混沌とした三年間をまぜて、一八六八年から一九四八年までの八十年間を
現代に近い過去として眺める時、私たちは、その間に絵本の残されたもののきわめて少いことに、
改めておどろかざるをえません。もとより絵本は、子どもに愛せられ、愛せられるために
消耗度の多いものではありますが、私たちの経てきた歴史の変動の度に、
移動、放棄、天災、戦災、さては無視閑却さえ加わって、育てるべき小さな花々が
根だやしにされがちな命運の脆さがはなはだしすぎはしますまいか。
今度の絵本復刻の企ては、私たちを見まったこの速かな痛ましい荒廃の中から、
美しいものを拾い上げて保存し、伝えたい歴史的な側面とともに、絵本の多くのものが
今日もなお小さい人々を喜ばせ楽しませる魅力を失っていない存在意義の側面とを
兼ねて始められたものでした。ここにとりあげた五十三冊の本のなかには、
見おぼえのある懐かしい本もありましょうし、もう氏素性の分らなくなった珍しい本もありましょう。
そこでこれらの本の生まれる背景として、共同の三氏を煩わせて、
明治後半から大正の初めにかけての幼少年文学の世界に君臨した巌谷小波の周辺の事情は鳥越信氏に、
大正を中心としてその前後にまたがる絵雑誌という絵本の母胎については南部亘国氏に、
また昭和の十年代からきびしい時代に突きいっていった上自由のなかで、
かえって独創的な絵本群が現れでた訳あいに関して滑川道夫氏に、
専門的な考察を願って三代をカバーしつつ、私は、八十年間をつづる目立たしい
諸本の身許しらべを主として、絵本の流れを辿って大方の絵本鑑賞のお役に立ちたいと思います《
(解説書 近代日本の絵本・はじめに より)
オリジナルは、とてもとても手にするのが難しい吊作の数々。
巻末の自社広告なども、出版当時のまま印刷されています。
同時代、同社からどんな作家・画家によるどんな本が出版されていたのかよくわかり、資料としても価値大。
また、奥付なども当時のまま。検印は印刷ですが、やはり興味深い。
復刻版だからこそ気軽に手にとって読めます。そう、出版当時、子どもたちが
ワクワクドキドキ読んだのとほとんど同じ気持ちで味わえるのです。
ほるぷ出版から1978年(昭和53年)。どうぞごゆっくり眺めてください。
53冊のうちの49冊。赤本4冊・欠。解説書つき。
各冊、函あり(ただし、「日本一ノ画噺《の外函なし・内函はあり。「大男と一寸法師《は函なし)。
30年近く前のものです。「大男と一寸法師《は背の下部から表紙にかけて凹みがありますが、
そのほかは全体的に読まれていた形跡ほぼなし。長年、函に入ったままだったのかもしれません。
函の接着面に、はがれがあるものあり。それでも函があったおかげで、シミは少なめ。状態はかなり良いです。
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