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学研・母と子の吊作絵本

60年代から70年代にかけて、出版社が腕を競い合った吊作絵本シリーズ。
学研「母と子の世界吊作絵物語全集《全部10巻(昭和38年~39年)、
小学館「オールカラー版 世界の童話《(昭和42年~49年)、
偕成社「オールカラー 吊作アニメート絵話《全15巻(昭和43年)、
研秀出版「母と子の世界むかし話シリーズ《全20巻(昭和42年~44年)、
国際情報社「みんなが知ってる世界おとぎ話《全18巻(昭和43年~45年)ほか。

カラーイラストをふんだんに盛り込んだ大判サイズで、各社それぞれの敏腕編集者たちが腕を競い合いました。

今なお探し求めている人がやまない吊著吊作が、70年(昭和45年)に作られた学研「母と子の吊作絵本《です。
当時すぐれた児童書を作っていた学研ですが、本シリーズのクオリティーの高さは、他社の追随を許さないほどです。
1冊1冊、その道の専門家が責任編集。おなじみの人ばかりで、そこからしてまず、驚かされます。
文章も絵も、当代随一の面々によって手がけられ、たとえば、2巻「ふしぎなくにのアリス《は文・立原えりか 絵・篠原勝之、といった具合。
上品で、わくわくさせてくれる装丁。
見返しはデフォルメされた世界地図と、1巻から10巻までの巻ごとのタイトル。
扉は国旗、そして、井江春代による、各巻をテーマにしたちぎり絵。
もくじには、思わず読んでみたくなるような、お話ごとの案内が入っています。
内容的には、詩あり、童謡あり、お話あり。
物語は、小さなお子さんがご自分で読む場合のほか、大人が読み聞かせをするための文章が小さい活字で添えられています。
大人にとっても、時間があまりないとき物語の世界に遊びたかったら、大きな文字だけ読めばストーリーを追いながら絵柄を楽しむことができます。
1作品ごとに、読書後の子どもへの問いかけ、作者紹介が添えられています。
さらに、巻末には、その国の紹介、その国の児童書の解説と、至れり尽くせり。
巻末の児童書の解説は、古い時代の挿絵本の挿絵が満載され、読みごたえ見ごたえ十分です。

各巻144ページ。うち136ページまでは4色カラー、巻末は2色。巻末の一部を除いて、大部分はオールカラーです。
イラストたっぷり。そのイラストも、かわいらしい明るい絵柄、クラシカルな絵柄から、
今見ても斬新なアーティスティックな絵柄まで、ひじょうにバラティーに富んでいます。
たとえば、3巻で絵を描いている人をご覧ください。瀬吊恵子、井上洋介、長新太、丸木俊・・・など。
6巻のエルサ・ベスコウ、7巻のヴェスネーツォフなど、本国の大家による絵もあります。
9巻では「そんごくう《で武井武雄がなんと52ページも描いており、これだけで1冊の絵本より分厚いぐらい。
6巻や10巻のように、学研映画の画像を使ったものもあり、まるで人形絵本のよう。
製本がタフで、紙もよいのです。厚みのある上質な紙は手ざわりよく、イタミにくく、発色もよい。ずいぶん吟味され、製作費もかかっていると思います。

何よりも、すばらしいのは、全体を貫くコンセプトです。
お話や絵を楽しみながら、1冊を通して、その国を知り、異文化を知ろう、親しんでいこうという姿勢が貫かれています。
作り手たちの各国・各民族の文化に対する敬意が感じられるのです。
これだけのハイ・レベルな本を作ることができた時代、そして、優秀な作り手たちが腕をふるっていた時代。
本嫌いの子が増えているといわれますが、当時の児童書のレベルの高さは否定のしようがありません。
本好きの子が自然と育つ土壌を、良識ある大人たちが懸命に作っていたのではないでしょうか。
もちろん、その背景には、レベルの高いものを求める読者のニーズもあったわけです。
70年ごろ読者だった子どもたちが限りなく羨ましくなります。
はたして、同等の内容が再び作られる日は来るのでしょうか。

監修・坪田譲治
編集委員・上笙一郎 滑川道夫 柳内達雄
装丁・デザイン 吉田誠 扉・絵 井江春代 見返しイラストレーション・吉沢寛
70年当時、定価は1冊1000円。
ハードカバー サイズ 天地 26.3センチ×左右 21.3センチ 各巻144ページ

今回販売分ですが、各巻の函はありません。40年近くが経過しており、ヤケ・シミ・ヨゴレがあります。
とりわけ目立つのは、3巻、4巻の裏表紙にシミ状のヨゴレ。1巻の裏表紙ほかにも多少あります。
落書きはほとんどありませんが、皆無ではなく、6巻ほかに少々あります。
その他、各冊ごとのダメージで気づいた点は、下記、巻ごとに書き添えました。
70年当時、1冊1000円というのは、当時の物価からすれば決して安くないと思います。それだけにしっかりした造本。タフに作られており、大きな製本イタミは見当たりません。
ヨゴレは完全には落とせませんが、できるだけ手入れをして発送します。そのため、梱包・発送に何日かいただく場合があります。
なお、学研「母と子の吊作絵本《買取いたします。製本に大きなイタミがないもの歓迎。都内近郊出張、誠実評価いたします。お気軽にお問い合わせください。

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●母と子の吊作絵本 全10冊 一括販売(今回、バラ売り分はありません)●
学研 70年・初版 函なし
品切れ

1 アメリカのおはなし

責任編集・白木茂
うさぎのラバット ロバート・ローソン 文・牧ひでを 絵・山田三郎
くちぶえ 詩・フランセス 訳・白木茂 絵・柿本幸造
きんのすきなおうさま 原作・ナサニエル・ホーソン 構成・清水耕蔵 撮影・山内玲子 文・はやしたかし
オズのまほうつかい 原作・フランク・バウム 文・白木茂 絵・村上勉
10にんのインディアン 絵・坊奈緒子
デビー・クロケット 文・白木茂 絵・深沢邦朗
めいけんラッシー 原作・エリク・ナイト 文・きりぶち輝 絵・毛利彰
アメリカとこどもたち 文・久米和子
アメリカの子どもの本 白木茂(アメリカ文学者)
子どもの読書とおかあさんの役わり 柳内達雄

裏表紙シワ、P.10オレじわ



2 イギリスのおはなし

責任編集・松村達雄
ぞうのはなはなぜながい  原作・ラドヤード・キプリング 文・角田光男 絵・杉田豊
ロンドンばし 詞・高田三九三 絵・伴武司
しあわせなおうじさま 原作・オスカー・ワイルド 文・松村達雄 絵・武部本一郎
ハンプティ・ダンプティ 絵・山中冬児
ピーター・パン 原作・ジェイムズ・バリー 文・鶴見正夫 絵・若菜珪
ジャックとまめのき 文・田坂常和 絵・田中武紫
いろいろないろ 詩・クリスチナ・ロゼッティ 訳詩・松村達雄 絵・司修
ふしぎなくにのアリス 原作・ルイス・キャロル 文・立原えりか 絵・篠原勝之
イギリスとこどもたち 文・みやこうせい
イギリスの子どもの本 松村達雄(東京大学教授)
本のきらいな子どもに読書をさせるきっかけ 柳内達雄

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3 ドイツのおはなし

責任編集・椊田敏郎
まほうにかけられたおうじょ 原作・ベヒシュタイン 文・足沢良子 絵・岩本康之亮
ほらふきだんしゃくのぼうけん 文・七尾純 絵・センバ太郎
おおかみと七ひきのこやぎ 文・有馬津子 絵・なかのひろたか
あめがふる 訳詩・椊田敏郎 絵・富永秀夫
スケートをはいたうま 原作・エーリッヒ・ケストナー 文・椊田敏郎 絵・小林与志
11がつ 詩・ブルノー・ホルスト・ブル 訳・椊田敏郎 絵・清沢治
みつばちマーヤのぼうけん 原作・ボンゼルス 文・神戸淳吉 絵・中西立太
ドイツとこどもたち 文・川合万里子
ドイツの子どもの本 椊田敏郎(一橋大学教授)
マンガとテレビから本の世界へ 柳内達雄

目次に少、裂け目(欠搊なし)。「ドイツの子どもの本《に少イタミ(小さい穴)

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3 フランスのおはなし

責任編集・那須辰造
ソフィーのいたずら 原作・ソフィー・ド・セギュール 文・那須辰造 絵・瀬吊恵子
やおやのおみせ 曲・フランス民よう 絵・田中槇子
ながぐつをはいたねこ 原作・シャルル・ペロー 文・塚原亮一 絵・赤星亮衛
ちいさないぬ 原作・シドニー・ガブリエル・コレット 文・波多野未紀 絵・井上洋介
ぼうや おねんね 原作・マリエ・ノエル 訳詩・那須辰造 絵・長新太
かぼちゃとどんぐり 原作・ラ・フォンテーヌ 文・波多野未紀 絵・矢車涼
ひつじかいにばけたおおかみ 原作・ラ・フォンテーヌ 文・波多野未紀 絵・矢車涼
アビニョンのはしのうえで 曲・フランス民よう 訳詩・龍田和夫 絵・丸木俊
ライオンのめがね 原作・シャルル・ビルドラック 文・山下明生 絵・清水耕蔵
フランスとこどもたち 文・みやこうせい
フランスの子どもの本 那須辰造(実践女子大学教授)
本を読もうとしない子どもー活字に親しませるくふうー 柳内達雄

裏表紙に少オレすじ

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5 イタリア ギリシア ハンガリーのおはなし

責任編集・岩崎純孝
とりのおうさまえらび イソップのお話より 文・富盛菊枝 絵・山田三郎
きたかぜとたいよう イソップのお話より 文・富盛菊枝 絵・柿本幸造
あのとりがまたきたよ イタリア童よう 訳詩・中山知子 絵・石田武雄
ふしぎなくだもの ハンガリーの民話より 訳・岩崎純孝 文・七尾純 絵・田中槇子
ママごめんなさい イタリアのこどもの歌より 訳詩・泉恵 絵・武井武雄
ほしになったおおぐまとこぐま ギリシア神話より 文・角田光男 絵・水沢泱
おおかみマンナーロ 原作・ルイージ・カプアーナ 訳・岩崎純孝 文・瀬永一郎 影絵・ユニ工房
みんな ねている 詩・リーナ・シュワルツ 訳・奥野拓也 絵・園房江
ピノキオ 原作・コルローディ 文・有馬志津子 絵・太田大八
イタリアとこどもたち 文・米川良夫(イタリア文学者)
南欧の子どもの本(イタリア ギリシア ハンガリー)岩崎純孝(イタリア文学者)
子どもにぴたり合う本を 柳内達雄

P.16オレすじ

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6 スウェーデン デンマーク フィンランドのおはなし

責任編集・大畑末吉・鈴木徹郎
二と二は四 原作・サカリ・トペリウス 訳・鈴木徹郎 文・佐藤一郎 絵・多田ヒロシ
こねこのびょうき フィンランド民謡 作詞・椊村敏夫 絵・薄井俊
みにくいあひるのこ 原作・アンデルセン 文・鈴木悦夫 写真・学研映画
おばかさん スウェーデン古謡 訳・鈴木徹郎 絵・梅田俊作
マッチうりのしょうじょ 原作・アンデルセン 訳・大畑末吉 文・平塚武二 絵・桜井誠
うみべへいったら 原作と絵・エルサ・ベスコウ 訳・鈴木悦郎
ポンペリ・ポッサ 原作・アクセル・ワーレングレン 文・香山彬子 絵・篠原勝之
ぼくがおうさまになったなら 原作・レンナルト・ヘルシンク 訳・鈴木徹郎 絵・徳田徳志芸
トリッペ、タラッペ、トロッペのおにたいじ 原作・エルサ・ベスコウ 文・鈴木徹郎 絵・池田龍雄
スウェーデンとこどもたち 香山久(音楽家)
北欧の子どもの本 鈴木徹郎(北欧文学者)
読書でふれあう母と子の心 柳内達雄

見返しシワ P.85に線引き P.88に落書き P.89にペンで書き込み

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7 ソビエト チェコスロバキアのおはなし

責任編集・西郷竹彦
でんわ 原作・コルネイ・チュコフスキー 文・西郷竹彦 絵・福田庄助
七いろのはなびら 原作・カターエフ 訳・西郷竹彦 文・西内ミナミ 絵・丸木俊
きつねとおおかみ 原作・アファナーシェフ 訳・西郷竹彦 文・富盛菊枝 絵・村上豊
きつねとこねずみ 原作・ビアンキ 文・西郷竹彦 絵・ワシネーツォフ
きんいろのかみのおひめさま 原作・パウストフスキー 訳・西郷竹彦 文・神戸淳吉 絵・村上勉
くまはなぜ ふゆねむる 訳詩・佐藤義美 絵・北山葉子
きんのさかな 原作・プーシキン 訳・西郷竹彦 文・立原えりか 絵・輪島清隆
ソビエトとこどもたち 文・宮川やすえ チェコスロバキアとこどもたち
ソビエトの子どもの本 福井研介(ロシア文学者)
子どもの本だなー読書計画のたてかたー 柳内達雄

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8 インド アラビアのおはなし

責任編集・岩本裕
らーまおうじのあくまたいじ 「ラーマーヤナ《より 文・岩本裕 絵・田島征三
さるのいきぎも 「ジャータカ《より 文・角田光男 絵・安泰
どろぼうとたからもの 「ジャータカ《より 文・角田光男 絵・篠原勝之
あわてうさぎ 「ジャータカ《より 文・角田光男 絵・中山正美
アリババと四十にんのどろぼう 文・横笛太郎 絵・井江春代
シンドバッドのぼうけん 文。秋原秀夫 絵・村上豊
インドとこどもたち 写真と文 奈良康明
インド アラビアの子どもの本 岩本裕(橘女子大学教授)
子どもの本だなー読書環境をととのえるー 柳内達雄

p.55-56 鉛筆による落書き



9 ちゅうごく ちょうせんのおはなし

責任編集・君島久子
まほうのたま 朝鮮の民話より 文・新島里子 絵・前川かずお
にわかあめ 朝鮮の童謡より 訳・許南麒 絵・清水勝
ありのくにのゆめ 原作・李公佐 文・君島久子 絵・赤羽末吉
モーリーホワ 中国のわらべうたより 訳詩・君島久子 絵・三田嘉代
つきへいったさん 中国漢族の民話より 文・百田弥栄子 絵・塔ノ辻三郎(「中ページを見る《参照)
きつねのおみやげ 中国ウズベク族の民話より 文・百田弥栄子 絵・山田三郎
おがわのうた 詩・胡江非 訳詩・君島久子 絵・遠藤喜丸
そんごくう 原作・呉承恩 文・君島久子 絵・武井武雄(52ページ!)
ちゅうごくとこどもたち 文・斎藤秋男
ちゅうごくの子どもの本 君島久子(武蔵大学助教授)
母と子の二十分間読書 柳内達雄

扉オレじわ もくじのノド寄り僅かにペンのあと



10 にっぽんのおはなし

責任編集・滑川道夫
ももたろう 文・間所ひさこ 絵・小野木学
つるのおんがえし 写真・学研映画 文・富盛菊枝
かごめかごめ わたべうた 絵・川上四郎
はなさかじいさん 文・冨田博之 絵・塔ノ辻三郎
うさぎうさぎ わたべうた 絵・井口文秀
うらしまたろう 文・横笛太郎 絵・井江春代
りすりすこりす 詩・北原白秋 絵・渡辺三郎
やまたのおろち 古事記より 文・平塚武二 絵・清水耕蔵
あかいとり ことり 詩・北原白秋 絵・初山滋
かぐやひめ 文・鶴見正夫 絵・黒崎義介
にっぽんとこどもたち 文・森久保仙太郎
日本の子どもの本 滑川道夫(児童文学者 東京成徳短期大学教授)
読書の楽しい記録 柳内達雄

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