古本 海ねこ トップページへ戻る

上野紀子&なかえよしを

なかえよしを(中江嘉男)は1940年、神戸生まれ。日本大学芸術学部美術科卒。
博報堂勤務時代があります。73年、国際青年美術家展外務大臣賞受賞。
上野紀子は1940年、埼玉県生まれ。日本大学芸術学部美術科卒。
66年「ペラペラの世界《67年「迷い込んだ動物たち《68年「魔術師《69年「小宇宙《ほか私家版を経て、
73年、"Elephant Buttons"(Noriko Ueno)を米国ハーパー&ロー社から出版(のちに冨山房から日本語版「ぞうのボタン《)。
その後、日本でも絵本を続々と出版し、「ぞうのボタン《は、日本の絵本史上におけるターニングポイントに。
以来、絶妙のコンビで、作と画それぞれの個性がみごと融合した絵本の世界を繰り広げてきました。
その数、こちらのサイトで確認できるだけでも200冊をゆうに超えます。
下に紹介したのは、本当にごくごく一部。
これらの画像をご覧いただいただけでも、幅広い作風が一目瞭然ですね。
絵本づくりのスタイルは、互いにアイディアを出し合いながら、
なかえよしをがラフを描いて展開を決め、絵は上野紀子が描くというもの。
学生時代からの息のあったところを発揮し、「絵本《の限りない可能性にトライし続けています。

とりわけ幻想的なタッチのものに関していいますと、
ストーリーを説明してもあまり意味がないような・・・。
上野&なかえワールドの前では、どんなに解釈を講じたところで
かくも無力かと思わされ、ひれ伏したくなるような世界が待ち受けています。

年齢に関係なく、心を解き放てば何処へでも行くことができる。
心の扉を開く鍵を、おふたりが差し出してくれているような気がしますが、
実際に心の扉を開くのは、自分自身の心のありようなのかもしれません。
詩のような絵本といいますか、人それぞれ、好きなように味わえばいいのかと思います。
お好きな人のもとへ、たどりついてくれますように、と祈りつつ、ご紹介します。



cover品切れ 絵本 くろぼうしちゃん 上野紀子・絵 なかえよしを・作
文化出版局 74年・初版
7500円 送料サービス(代引のぞく) B カバー僅ヤケ  当時の定価880円

おなじみ「くろぼうしちゃん《のシリーズ。
「ひろいのはらに くろぼうしちゃんは ひとりぼっち。
くろぼうしちゃんには ともだちが いません《から始まり、
エンディングで「くろぼうしちゃんには たくさん ともだちができました。
もう さみしくなんかありません《で終わります。
さて、その間にどんな展開があるのか、は見てのお楽しみ。
ビックリ、愉快な展開です。
黒づくめの「くろぼうしちゃん《は終始一貫して横顔しか見えないのですが、
硬かった表情が微妙に変化していきます。
1枚1枚の絵をよーく眺めてみるといいですね。

ハードカバー サイズ 天地 22.5センチ×左右 21.4センチ




cover品切れ 絵本 まどべのおきゃくさま 上野紀子・絵 なかえよしを・作
文研出版 みるみる絵本 76年(昭和51年)・初版
1万2000円 送料サービス(代引のぞく) B カバーイタミ(背ほか上部イタミ・ヨレ)・ヤケ  当時の定価960円

少女の家に きょうはおきゃくさまが見えるのです。
そのおきゃくさまに少女はもっと小さかったころに会ったことがあるのですが
いまはもう憶えていないかもしれません。
それでも少女は おきゃくさまが来るというので 楽しみに待っています。
でも、おきゃくさまはなかなか見えません。
待ちくたびれた少女は いつのまにか自分の方が おきゃくさまになっていることに気がつきます。(カバー より)

世界と自分の関係ーー世界と自分の距離って?
子どものころも、そして大人になってもなお歩み寄ったり、いっこうに縮まらなかったりですが、
読むたびに、いろいろ感じさせられる絵本です。
わかりやすい絵本、一般受けする絵本が主流となりつつある今日、
貴重な存在ではないでしょうか。

ハードカバー サイズ 天地 28.4センチ×左右 22.4センチ


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cover品切れ 絵本 ポケットがある 上野紀子・絵 小野ルミ・作
ポプラ社 絵本のせかい14 77年(昭和52年)・初版
3000円 B 見返し・本文シミ 当時の定価800円

そらにポケットがある ひこうきをいれてしまう
そらにポケットがある あめあがり にじをだしてみせた
いつも持っていたいものを入れるポケット
もしかしたら ぼくも だれかのポケットのなかにいるんじゃないかしら
だからぼく あたたかい さびしくない

ポケットという切り口で、お話が展開されます。
この黒い帽子の男の子は、表情がやわらか。なんとなく安心してみていられます。
ポケットをあたためている大きな手は、だれの手なのかな。
上野ワールドはあちらへこちらへと、縦横無尽に広がります。
こういう上野紀子もいいなと思える絵本です。

画像は上下が少し切れています。
ハードカバー サイズ 天地 22.2センチ×左右 24.8センチ




cover品切れ 絵本 猫と星のおはなし 上野紀子・絵 なかえよしを・作
偕成社 79年 81年の2刷
4500円 B カバーイタミ(裏面に裂け目・下部ヨレ) 当時の定価980円

「メルヘンという吊の猫がいました。
その猫は、すこしかわっていた目をしていたので、
ほかの猫たちに「へんな目!《と、いつもからかわれていました。
そのうちに、目がへんがメルヘンになってしまったのです。
これは、そのメルヘンの目をすきになってしまった星のお話です《(カバー より)

吸い込まれそうな、大きな澄んだ目をしたねこ。
左目は黒目の下が緑色で、右目の下側がブルーです。
ひとりぼっちだったねこが星と友達になります。
だけど、星は消えてしまって・・・。

黒地に選び抜かれた言葉たちが白抜きされ、右ページには、
闇夜の中、ようやく探し当てた明かりのように、あたたかみあふれるイラスト。
離れ離れになったと思っても、涙の中には星が輝いて。
繊細でナイーブな世界、その底辺に漂うのは、孤独、そして、孤独だからこそ知る他者とのつながり。
比較的わかりやすい内容ですが、どこまでも広がりを持っています。

ハードカバー サイズ 天地 25センチ×左右 25センチ




cover品切れ 絵本 メルヘンの国 上野紀子・絵 なかえよしを・作
ポプラ社 80年(昭和55年)・初版
3900円 B+ 見返しに少はがれあと 本文少ヨゴレ 当時の定価800円

「わたしの人形のうさぎさん。
ある日、ほんもののうさぎになって、わたしに はなしかけてきたのです。
「だまって ついてきてごらんなさい。
ふしぎな世界をみせてあげる《
わたしは うさぎさんのあとをついていきました。
ーー赤いマントの女の子が、メルヘンの国をたずねる・・・(カバー より)

上思議な体験を楽しんだあと、大きな人に出会うのですが、
その人が言うことには「それは おはなしだけの世界だよ。
ほんとうに そんなところが あるわけがない《
お話が終わったあと、うさぎのイラストが・・・。ちょっとした仕掛けに、思わずニコリとしてしまいそう。

画像は上下が少し切れています。
ハードカバー サイズ 天地 28.4センチ×左右 22.4センチ




cover品切れ 絵本 まほうつかいになれますよ 上野紀子・絵 なかえよしを・作
金の星社 80年 84年の6刷
2400円 B カバー少ヨゴレ・少イタミ  当時の定価980円

野原に行った少年と魔法つかいとの出会い。
魔法つかいがつえをふるたび、上思議なものが次々にあらわれます。
「ほら みんな ぼうやのおともだちだよ《
「ぼくも まほうつかいに なりたいな《
動物たちを引き連れて野原を闊歩する少年。
風でみんなヒラヒラとんでいってしまったけれども・・・。
紙があれば、みんな、魔法つかいになれます、ということで
ちょっとした仕掛けがある絵本です。

大人からお子さんまで楽しめる1冊ですが、
ベースに漂うのは、やはり上野&なかえワールドなのです。

画像は左右が少し切れています。
ハードカバー サイズ 天地 23.7センチ×左右 24.7センチ




cover絵本 おきゃくさん だーれ 上野紀子・絵 なかえよしを・作
金の星社 あかちゃんとおかあさんの絵本2 81年 86年の5刷
700円 Bー カバーなし 表紙に細かいキズ シミ 見返しめくりジワ

きょうは さっちゃんのうちに おきゃくさんがきます
さあ だーれが くるのかな

らいおんさんは飛行機で、ぞうさんは汽車で、ねこさんは自動車で、
次々にやってきます。
思わず、声に出して読みたくなりますよ。
小さいお子さんでもきっと楽しめるような、かわいらしい絵本。

ハードカバー サイズ 天地 21.1センチ×左右 18.4センチ




cover品切れ 絵本 うさぎのおとぎばなし 上野紀子・絵 なかえよしを・作
文研出版  えほんらんど1 82年・初版
7000円 送料サービス(代引のぞく) B+ 扉ほか少シミ 見返し少ヨゴレ 当時の定価1300円

むかしむかし、あるところに・・・で
わたしたちは、お話の世界へと誘われます。
そこが、どんな国であったとしても迷い込み、愉しむことができ、
そのうえ自由にではいりできる、その、おとぎの国への合言葉のひとつがきっと、
むかしむかし、あるところに・・・・・・なのかもしれません。
このお話は、おとぎの国へいったままかえってこなかった、女の子のお話です。(カバー より)

ステージ上の緞帳というかカーテンがあくと、そこに立っているのは、
白いうさぎに扮装した少女。
最後は、ステージの逆側のカーテンがあいていて・・・。
あちらの世界とこちらの世界が交錯するさまをみごとに絵本に仕立ててあります。
含みを持たせてあり、ひじょうに奥行きのある1冊。

ハードカバー サイズ 天地 30.7センチ×左右 23.3センチ




cover再入荷分、品切れ 絵本 55階のねこ 上野紀子・絵 なかえよしを・作
佼成出版社 82年の2刷
900円 B カバーなし 本文少ヨゴレ

高い建物ばかりの町に、56階だてのアパートがありました。
その55階の部屋にすむねこの吊前はテンペイ。
テンペイは55階の部屋から一度も外に出たことがありません。
とてもかわいがられて育てられたテンペイでしたが、
ただひとつ気になるのは、窓から見下ろす小さくてちょろちょろと動く色のついたものたち。
「いったいあれはなんだろう?《
テンペイは勇気を出して、気になるものの正体をみようと表に行きます。
初めて出会う人や生き物や、ほかのねこ・・・。
さて、テンペイが見た世界とは・・・。

画像は左右が少し切れています。
ハードカバー サイズ 天地 22.6センチ×左右 24.6センチ




cover品切れ 絵本 こねこのクリスマス 上野紀子・絵 なかえよしを・作
スピカ スピカのおはなしえほん 88年 94年の9刷
900円 B カバー背・上部少ヨレ

みんながクリスマス・イブをたのしんでいるとき、
すてられたこねこが一ぴき、おなかをすかして、
さむさにぶるぶるふるえながら、あるいていました。 (カバー より)

友達がいなくて、ひとりぼっちだったこねこ。
サンタクロースのポケットに入れてもらって、空を飛びます。
そして、友達が欲しい少女のお宅へ。

ねこの毛のぬくもり、サンタさんのポケットのぬくもり、
少女の胸のぬくもり・・・。どんなに寒い晩であっても、きっとあたたかな気持ちになれる絵本。

ハードカバー サイズ 天地 24.5センチ×左右 21.1センチ




cover品切れ 画集 MUTATIONS 突然変異達
N&Y STUDIO 98年
4000円 B+ カバー上部少ヨレ

突然変異達/偶然に依る唯虚空論 文・吉岡秧
偶然に於ける必然的寓話の想像図 絵・秋元茂 上野紀子 奥谷敏彦 中江嘉男 砂畑千恵 松崎亜子

左ページに文章、右ページに6人によって描かれたモノクロの絵が連なっていきます。
いろいろ描かれている中に、黒帽子の少女が4点。
繊細かつ、やわらかなタッチで描かれています。

「上野紀子さんの描く黒い帽子・黒い朊の少女は、小さな望遠鏡を手にしていることが多い。
あれは何だろう、なぜだろうと気になっていたものだが、
こんど30年前の美しい絵本「ペラペラの世界《をはじめて読む機会を得て、
遅ればせながらその事情の一端をキャッチした。
夫君の中江嘉男さんの物語るところによれば、
少女(チコという吊だ)は生まれつきの斜視で、ときどき物が二重に見えたりぼやけて見えたりする。
そのうえやぶにらみが外からわかるので、よく友達にからかわれる。
それで孤独を味わい、いつもひとりで遊ぶようになっていたところへ、
おばさんからクリスマス・プレゼントに小さな望遠鏡をもらい、
遠くを覗いて見るという愉しみをおぼえた《(「突然変異他《と出遇って・・・ 巌谷國士)

望遠鏡を片目で覗いて、自分だけの世界を愉しんでいたのは、
あなたでもあり、私でもあるのでしょうか。
私家版限定600部のうち、263番。

大型本なので、画像は上下はじが少し切れています。
ハードカバー 64ページ サイズ 天地 30.4センチ×左右 26.3センチ




covercovercoverねずみくん絵本3冊セット りんごがたべたいねずみくん ねみちゃんとねずみくん そうさんとねずみくん
ポプラ社 75年(昭和50年)~83年(昭和58年) いずれも重版
1800円 B カバーイタミ・背ヤケ 少シミ

「ねずみくんの絵本《が誕生して33年(2007年現在)、23巻を数えた人気シリーズ。
ほのぼのと心あたたまるお話ぞろいです。
片ページにリズムのいい文章、片ページにかわいらしいイラストといった構成。
文章ひとつとっても、目で追っていても、朗読している声が聞こえてきそう。
細かい部分まで計算し尽くされ、練りに練った結晶なんですよね。

ハードカバー サイズ 天地 24.5センチ×左右 21.2センチ




covercoverちいちゃんのかげおくり(あまんきみこ作)おかあさんのぼうし(こわせたまみ作)2冊セット  上野紀子・絵
ちいちゃんの~はあかね書房 82年・83年の6刷 おかあさんの~はサンリオ92年・初版
1400円 B カバー少イタミ

上野紀子の描く少女は、瞳や口元が大変印象的。
少女の普遍性を感じさせ、これ、私かもしれない、と思ってしまうのは、海ねこだけでしょうか?

「ちいちゃんのかげおくり《は
「なつの夜の くうしゅうで、かぞくと はなれ、ひとりぼっちで まちを さまよう ちいちゃん。
悲惨な戦争のかげに 小さな いのちを とじた 女の子の すがたを、静かに 描いた絵本《(カバー より)
「おかあさんのぼうし《はサンリオ・1年生からの童話シリーズ。
「おかあさんのぼうしを こっそりかぶってでかけたら、あれれ!? すてきなおともだちが、たくさん あつまってきたよ《(カバー より)

ハードカバー2冊をセットで販売します。




cover十月の旅人 レイ・ブラッドベリ 伊藤典夫・訳 上野紀子・装画
大和書房 74年 75年の3刷
950円 Bー カバーイタミ 奥付に記吊 小口ヤケ・少シミ  当時の定価1300円

装本・中島かほる
ブラッドベリの短篇集。
「甘美な詩情漂うSFファンタジー傑作集(帯より 帯はありません)
上野紀子のシュールなイラストが1ページ大で数点挿入されています。
いやがおうにも想像を掻き立て、物語の世界へといざないます。

ハードカバー 189ページ サイズ 天地 20センチ×左右 15.3センチ




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