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2004年1月の日記

商売って大変なのですね…

きのう、ご注文いただいた本が見つからなくて
探しもので時間を費やした続きです
(ねコラム 1月9日参照)。
イージーシークのこれまでの受注一覧を見て、
それらが売れてしまったのかどうか確認。
それでもはっきりつかめなくて、結局、
イージーシーク、海ねこ直の納品書ファイルを
ひとつひとつ見て確認していく作業をしました。

さらに、リピーターで注文していただいたとき、
お名前を見て「再びのご注文ありがとうございます」と
気づきけたらいいなと思い、PCのファイルをひとつずつ開いては、
ファイル名を書き換える作業をしました。
これまで、日にち名のファイルだったので、
そこに個人名を加えていったのですね。
はたで聞くとぜんぜん大変そうじゃないでしょうけど、
実際は、大量のファイルを開いてはコピペして閉じて開いて、の繰り返し作業で
背中や肩が痛いのなんの。
しかも、時間がかかるのなんのって。
イージーシークは9月いっぱいの分まで作業をして、あえなく時間切れ。
単価は安い本ばかりですが、
大勢の方にお買い求めいただいたわけで、大変ありがたく思います。
しかし、実際のところ、大半は一度きりご利用の方でしょう。
私も、イージーシークに書名を打ち込んで検索して
よそのオンライン古本屋さんや個人の方から買うときは
たいていは一度きり。
リピーターになるのは、よほど気に入った場合に限られますので。

そう考えると、リピーターになっていただいて、
同じ店に何度も来ていただき、
しかも何度もお買い求めいただくというのは、
よほど大変なことなのですよね。
そして、リピーターについていただけることほど
店をやっていてうれしいことはないと思います。
ひとりでも多くの方にまたお越しいただこうと思ったら、
1冊1冊の受注メール、梱包・発送とも手を抜けないなと。

きのうご注文いただいた方のお名前に見覚えがあり、
そうお伝えしたら、喜んでいただけて、私もうれしかった。
だから、おひとりおひとりのお名前をできるだけ覚えておきたい。
頭良くないので記憶するのは無理だとしても、
納品書のファイル名を一目で見れるように整理しておきたい。
そして、何よりもリピーターの方に
再びまたお買い求めいただくためには、
絶えず、良い新着本をご用意し続けていかないと。
これは言うは易し、行うは難し。
セドリに方々の古本屋さんへ出かけ、
積極的に買取をして良い本を集め続けなくては。
財力も在庫管理能力も置き場所も必要だし、
オンライン古本屋を続けていくって楽じゃないのですね。
始めて間もないペーペーの身でこんなこと言ってたら、
諸先輩方に「けっ」と笑われちゃいそうですが。

私はきちんと就職したこともなく、
商売をしたこともありませんでした。
本や雑誌を作る仕事をしていて、
何千部、何万部と印刷されるとわかっても、
それがどういうことか、実感できていなかったかも。
ひとりひとりにお売りする、買っていただくという感覚に欠けていたと思います。
ひとりひとりの人とやりとりをして物を売るのは、
学生時代のアルバイト、そして、
引越し前に不用品を処分したくてフリマに出したときぐらい。
商売って、こんなに大変なんだ、
商売を続けている人は皆さんご苦心・工夫なさっているのだ、と思う。
なんだか出版社に入社してすぐ販売研修している若手社員になった
みたいな、チョー駆け出し気分。
それがなかなかおもしろいなと感じる今日このごろです。
これでもうちょっと売れてくれれば、文句なしですが、
あせって結果を求めるような仕事じゃないし、
真面目に、そして、楽しくコツコツ続けていくのみですね。

(自分のための覚書き。ねコラムの日々のよもやま話にと
思って書き始めたら、例によって長くなってしまいました。
しかも、オンライン古本屋 駆け出し顛末記である
「うみねこ日記」とネタがかぶるので、こちらへ。
オンライン古本屋としての経過を追うための
ある程度、量がある記録は「うみねこ日記」にまとめていくつもり。
私って、1行日記で個人情報をさらけ出すのはやめたつもりが、
結局はこうして心のつぶやきを文章化するのが好きらしい。
たちが悪いことには、こうして恥をさらけ出して、
ついつい公表したくなるという性癖があるようで。
あーあー、読んでくれる人いるのかなー。
タラタラつぶやきを聞かせられて、おもしろくなかったら
ゴメンナサイ&読んでくださってありがとうございます。
ほかのお店は皆さんカッコよく決めているのに、
店主が何やらかにやらつぶやいている海ねこ。
敬遠されちゃったらどうしよう…。
こんな店もあってもいいですか、ね…)

2003年1月10日 記


NYの古本屋


↑ロックフェラーセンターのクリスマスツリー
photo by Miho Izumi


眠くて眠くてたまりません。
時差ボケを克服するのに
皆様、これほど苦心しないのでしょうか?
私は、ハワイ、アメリカなど日本から東側へ飛ぶと、
必ずや現地で夜眠れなくなり、日中は眠くて死にそうな日々となります。
帰国してからもまた時差ボケが続きます。
今は、明け方あたりに目が覚めてしまって、朝だけ元気。
日中から夜までずっとずっと眠いのです。
おまけに風邪っぽいし、何も手につきません。困ったものです、本当に。
何かできることはないだろうかと考えて、
まずは日記など書いてみることにしました。

年末年始、たっぷり11日間、休業いたしました。
オンライン古本屋を始めて7か月ほどの分際で?
という声がどこからか聞こえてきそうですが、
旅に出ていました。
私はおうちも好きですが、旅が大好きです。
言い訳めいていますが、旅先で仕入れもしてきました。
仕入れた本たちは船便で送ったので、ご紹介できるのはまだまだ先…か。

今回のいちばんの目的は、Phish(フィッシュ)のライブを見るため。
家人が大好きなバンドで、
マイアミで4日間行われたライブのうち3日分のチケットを
苦心の末とることができたので、付き合うことにしました。
せっかくマイアミへ行くなら、
友人が住んでいるNYへ立ち寄りたい。
私の主目的は、むしろそちら。
NYへの旅は3度め。大好きな街です。
今回のNY滞在はわずか4日間。丸々使えたのは2日間のみ。
その間に友人と会ったり、たまたま知り合いになった夫婦と夕食をともにしたり、
予定がテンコもりでした。
合間に駆け足でどうにか回ったのは古本屋5軒、新刊書店3軒。

●NY最大の古本屋「Strand Book Store(ストランド・ブックストア)」
828 Broadway(at 12th St.)(9:30AM-10:30PM 日曜は11:00AM-10:30AM)

“8 miles of books”(8マイルは、約13キロ)が謳い文句の
超・巨大な名物書店。
9時半の開店とともに列ができます。
私もその列に加わりました。
歴史ある古本屋で、あの植草甚一さん(1908〜79)も足しげく通っていました。
今にも彼がそこらに立っていて、
目を輝かせながら古本を物色していそうな気がしました。
古い体育館か図書館に大きな棚がにょきにょき並んでいる雰囲気。
地下の一角をしめる絵本だけでも膨大な量で、
棚にぎゅうぎゅうにつまった絵本は背表紙しか見られません。
表紙の絵柄を見るためには、
脚立を使って上から下へ、下から上へ、左から右へ、右から左へ。
苦しい姿勢で重たい本の列を1冊1冊ぱたんぱたんと斜めに倒しながら
表紙を見ていくのはハードな作業。
ああ、やっと終わった、疲れた、腰と背中が痛い!
そう思って裏側へ回ったら、そこにもまたぎっしりぎゅうぎゅう
絵本、絵本、絵本。また脚立によじのぼります。
体力勝負の古本屋でした。
値段はけっして安くありませんが、質・量は随一。
見れば見るほど欲しいものが見つかる、おそろしいスケール。
持ちきれないほど買ってしまいがちですが、
頼めば船便で発送してもらえます。
郵便局からの発送は、何年もNYに住んでいて慣れている日本人でも
待って待ってイライラするほどだそうなので、
少々、高くついてもお願いしたほうが無難。

オリジナルのトートバッグ各種や子供用Tシャツは
デザインがかわいくて、ナイス・プライス&グッド・クオリティー。
NY在住の友人もバッグを愛用していて、
日本から同行した友人にバッグを見せたら「私も買う!」と言っていました。
また、黄色い子供用Tシャツをマイアミで着ていたら
「そのTシャツ、いいよね。僕も同じの持ってるよ」と
白人男性に声をかけられました。
写真はまた改めてアップしたいと思います。

●Westsider Rare&Used Books
2246 Broadway btwn 80th&81St.(10:00AM−深夜)
www.westsiderbooks.com(店頭写真も見られます)

以前は「Gryphon Bookshops」という名前の古本屋だったはず。
雑誌(MOE1999年8月号)で見て訪れたところ、確かに古本屋。
写真にのっていたのと店構えも住所も同じですが、
経営者が変わったのか、店名が変わっていました。
在庫推定2万冊? 絵本・児童書だけで1棚たっぷり。
各ジャンルの古本たちが高い天井までぎっしりです。
2階には、高そうな古書が大事に飾られていました。
古めいた、ほどよく重厚なたたずまいで、
時間の流れがゆるやか。そこにいるだけで落ち着きます。
連れがいたし、時間があまりなくてゆっくりは見られませんでしたが、
レコードもかなりあったように思います。
家人が見た1960年ごろの詩集は、100ドルちょっとだったとか。
恋しい、また行きたい、通いたいと思った古本屋です。

↑Westsider Rare&Used Booksで購入した「ロビンソン・クルーソー」。
かなり古いものと思われますが、なんと7ドルのお手ごろ価格で購入。
NYって懐深い街!

●ストランドのアートブックス専門店
「Hacker−Strand Art Books」
45 W.57th.,5th floor(10:00AM-7PM)

マイアミへの移動日だったので、
ようやく店を探し当てたものの、わずか30分ほどしか滞在できず。
美術関連の本、写真集の古本が山ほど。
NYの建物のレリーフなど細部写真を集めた写真集など、
欲しいものが何冊か見つかって迷いました。
マイアミへの移動途中だったので、悩んだ末に我慢…。
せめてもと、軽いストランドのトートバッグをまた何種かゲット。
しかし、一枚なら軽くても、何枚もまとまると結構、重いのですねー。

●Books of Wonder(ブックス・オブ・ワンダー)
16 W. 18th St.(10:00AM-)

「CHILDREN'S BOOKS」の店。
新刊、古本ともに品揃えがよく、厳選されている印象でした。
古本は、60年ー70年代の絵本なども。
開架式の棚には70ー80ドル以下、もっと手ごろな値段のものもありますが、
高価な「古書」はガラスケースの中に鎮座しています。
ここで高価な古書をどさどさ買って
カード払いで日本に送ってもらうように頼んでいた日本人女性がいました。
リッチだなー。よほどお好きなのでしょうね。

●HOUSING WAORKS USED BOOK Store(ハウジングワークス ユーズド・ブックストア)
126 Crosby St.(10:00AM-8:00PM、木曜・金曜はー9:00PM 土曜12:00AM-9:00PM 日曜12:00AM-7:00PM)

NY市のHIV感染者とエイズ患者のホームレス・コミュニティを
支える慈善団体、ハウジング・ワークスへの寄付を行っていて、
本はすべて寄付によって集められたものとのこと。
絵本は品ぞろえがすごくいいわけじゃないですが、値段は比較的チープ。
奥にセルフ・サービスカフェがあり、そこで本を読んでも、
おしゃべりしても放っておいてくれる居心地いい場所でした。
実際、家人はソファーで居眠りしていました(笑)。
トイレも2つあり、そこそこきれいで利用しやすいです。
周辺の人たちも交流の場、安らぎの場として利用している印象でした。

●Shakespeare & Co. Booksellers(シェイクスピア・アンド・カンパニー)
939 Lexington Ave./137 E. 23rd St., at Lexington Ave., Gramercy,
/716 Broadway, at Washington Pl., Greenwich Village, /1 Whitehall St., at Beaver St., Lower Manhattan,

新刊書店。マンハッタン内に心地よい店舗が数店あります。
私が立ち寄ったのは、ワシントン・スクエア・パーク近く、
ブロードウェイに面している店。716 Broadway
「店の中にネコ2匹いて、絵本もいっぱい。
まさに海ねこって感じの店だよ」という友人情報で行きました。
私が行ったときは、ネコは1匹だけしかいませんでした。
NY在住の人に聞いたら「店番のネコがいる店って、NYは結構多いですよ」とのこと。

マイアミ滞在中は、ライブの前に
ココナッツグローブの「BORDERS BOOKS AND MUSIC」へ。
3390 MARY STREET COCONUT GROVE 

ここで買った仕掛けのある本たち。

↑「Googly eyesーMaking Funny Faces」
KLUTZ 6,95ドル。
http://klutz.com/
貝殻、ペンチ、スケール、ハケ、ボール、 空き缶、
ジョーロ、PCのマウス、鍵穴、引き出し、木、岩…。
いろんなものに目玉を貼り付けて、ゆかいな顔を作ろうという本。
ご丁寧に目玉つき! 遊び心いっぱい、ゆるさが好き。
レジのおにいさんに「Pretty good!」と目くばせされました。


↑「DRAW THUMB」シリーズ。
これらもKLUTZのもの。各6,95ドル。
スタンプとペンつき。指紋をペタペタ押して
絵を描き込んで楽しむ、いわば指紋アートブック。
おもしろいと思うけど、甥っ子にあげても、いまいちウケず!?


↑「Kitten and friends」というベビー向け本。
St.Martin's Press 6,95ドル。
こねこみたいにフサフサの毛をさわったり、
毛糸をさわったりして楽しめるように趣向がこらされています。
私がいちばん好きなのは、ピンク色をしたねこの舌。
本物みたいにザラザラの布地を使ってあります。
カウンターで横にいた上品な奥様に
「Oh! Very cute!」と言われました。

ほかにも、ティーンエイジャー向けでしょうか。
ビーズつきのビーズ細工の本、
ミサンガを作るための糸つきの本、
刺繍をすぐすることができるキットつきの本、
マニキュア各色つきのネイルアートの本など、
付録つきの本が各種充実していました。
おそらくこれらも同じKLUTZのものだと思います。

昨年、ティーンエイジャー向けのメイクものムックを
作りたくて、コスメを付録につけたいと企画しました。
付録つき本の見本を見たり、製作工程を見学するため
大手印刷所へも行きましたが、
いろいろ工夫してもコストが高くつくのが難点。
原価計算の段階で、壁にぶちあたりました。
KLUTS社は大手のようですが、
アメリカはマーケットが大きいから可能なのでしょうか?

帰りはシカゴ空港経由。
空港の書店で、いろいろなしおりを買い込みました。

↑本のページ上部にはさみこむ形式。それぞれ2,99ドル。

↑この写真だとわかりにくいかもしれませんが…。
ヒモのはしにエッフェル塔とハート、
太陽マークと星パターンがついています。
読みかけのページにヒモをはさんで本を閉じれば、
本の上部と下部からエッフェル塔や星パターンがのぞくスタイルです。
それぞれ6,95ドル。www.remarks.net

↑ねこの絵柄、動物モチーフ各1,99ドル。
ペンギンや魚のビーズつきのものもあって、各2,50ドル。
弱点は、フリンジがほどけてバラバラになりやすいこと。
うーん、実物はかわいいのですが、写真がいまひとつでした。
2003年1月5日 記


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