古本 海ねこ トップページへ戻る

2003年6月後半の日記

日常生活の合間に

休日出勤が続いていて、
寝不足だった家人が久々の休日。
家族が機嫌がいいと、精神衛生上いいですね。
私も、気分がいいです。

昨夜は久々に気の置けない友人らとの飲み会でした。
海を通じて知り合った仲間で、年齢はバラバラ。
とてもいい気分転換になりました。
持つべきは趣味、持つべきは友、ですね。
私は、連日、取材続きで、今日も六本木へ。
丸々一日、休みという日が久しくありません。
心も体もやや疲れぎみですが、
仕事で出かけた街の古本屋チェックは、
ささやかな、いえ、大きな幸せです。

13日は、高円寺で仕事でした。
その日は睡眠時間もろくにとれず早起き。
朦朧としていて、照りつける陽射しにくらくら。
しかし、立ち並ぶ古本屋を見過ごすことはできません。
中でも気に入ったのが、青木書店。
店主の眼力を通してセレクトされた本たちが、
落ち着きある店内に感じよく並べられています。

映画・美術・音楽の棚も充実していました。
私も好きなジャンルですが、
この類は愛好者が多いので需要を反映して、
本の値段はけっして安くありません。
のんびりじっくり滞在して、
結局、購入したのは11冊、合計2千円分。
「古本屋の謎」(岡崎武志・800円)がちょっと
高かったぐらいで、ほかは安いものばかり。
どれを買おうかと選んでいる間は、
お客として、居心地のいいお店で堂々と過ごせます。
滞在させていただくだけでも、
ゆるやかな時間に身をゆだねて、心豊かになれます。
青木書店にいると、信頼できるおじさんの書斎に身をおいているような。
しかも、もっと気兼ねなく堂々といさせてもらえて。
街の古本屋さんは、ありがたい存在です。
図書館も好きですが、どんなに欲しい本があっても
図書館ではけっして買うことはできませんから。

静かになるラジオ、時計の音…。
高円寺の古本屋はどこも居心地がよく、
疲れが吹き飛ぶ思いでした。

今日は、移動中の電車で
購入したての「古本屋の謎」を読みました。
電車の中にいながらにして、古本屋で
過ごしているような、おだやかな気分。
岡崎さんは学生時代から古本屋通いをし続けて、
古い本を愛し、しかも、大変、造詣が深い方。
どこでどんな古本を購入したか、
ラインナップを見るだけでもおもしろいです。

岡崎さんの著書である「古本でお散歩」(ちくま文庫)は
古本屋情報を得るため、いつも机に置いてあります。
今夜は、帰宅してから「古本屋の謎」に出ていた
「東京古本屋グラフィティ」(池谷伊佐夫)を
アマゾンマーケットプレイスで定価より安く注文。
「古本めぐりはやめられない」(岡崎武志)は、
新刊をアマゾンに注文しました。

深夜、ああ、取材のテープ起こしをしなければ、
と思いつつ、ついつい、
よそのオンライン書店店主の日記を
読んだりして。
今の仕事の波をどうにかこえたら、
相互リンクのお願いをあちこちにさせていただきたいと思いますが、
相手にしてもらえるのかどうか???

明日は、まずは、
イージーシークでお買い上げいただいた1冊、
アマゾンマーケットプレイスでお買い上げ
いただいた2冊を発送の予定です。

2003年6月15日 記


新たな動きがいくつか

きのう今日と、原稿の締め切りだったので、
ずっと家にこもりっぱなし。
発送と振込みのため、近所の郵便局へ出かけただけ。
人様にはお見せできないような
ボサボサ頭によれよれの服装で机に向かっていました。
最近は、宅配の配達の方も気をきかせてか、
あるいは、見るに見かねてなのか(!)、
あえて、こちらを直視しない方も増えてきたような。

そんな中での楽しみは、
オンライン古本屋 他店から届いた本たちです。

アマゾンマーケットプレイスで見つけた
ユーブックさんから『東京古書店グラフィティ』
(池谷伊佐夫)が到着。
自分もオンライン書店を始めてから、
他店の梱包の方法や納品書まで含め、
よーく見て勉強させていただいています。
ユーブックさんの梱包は、
CDやDVDを郵送するときに使うタイプ。
中にエアパッキングを貼った紙封筒でした。
本の状態もよく、本の内容も一見して、
とてもよさそうなので、心うきうきです。

夕方、届いたのは、
当店リンクでもご紹介のカエル書房さんから。
ごく普通の茶封筒に手描きの文字。
中から出てきたのは、エアパッキングの包み。
開いてみると、中にはビニール袋にぴしっと入れられた
きれいな2冊の本たち。
添えられていたしおりがなんてかわいい!
お店のHPで見たより、実物のほうが何倍も
愛らしくて、思わず
「かわいいー!」と声をあげました。
しおりは、店主のカラーイラスト入りで、
紐のつけねに葉っぱみたいなビーズ状のもの。
たたずまい、手作り感がいいです。
さらに、6センチ×4センチほどの
蔵書票を添えていただき、
ビニール袋をとめてあるカエルプリントの
テープもプリティー…。
本を開く以前から、楽しい気持ちになりました。
カエル書房さんは、品ぞろえや日記を拝見していると
硬派っぽい方なのではと勝手に推察しておりますが、
このパッケージング、おまけのセンスは、
なんてフレキシブル&チャーミングなんでしょう。
こんな書き方をして、カエル書房さん、
不快に感じられたら、申し訳ありません。

以前、生まれて初めてアマゾンマーケットプレイスで
ある方からビデオを買ったときも、
センスのいい包装で送っていただいて、
受け取った瞬間、幸福な気持ちになりました。
ビデオを全部、見るまでもなく、
送り手の方が物を大事に扱う方だと
わかって、安心できますしね。
そういう人から譲っていただく喜びを感じました。

そんな体験もあったので、私も事務的に本を送るだけでなく、
受け取った人が少しでも楽しい気持ちに
なってくださったらいいなと、心がけていたつもりでした。
でも、カエル書房さんの仕事を拝見したら、
自分がまだまだだと痛感いたしました。
もっといろいろ工夫をしようと思いました。
カエル書房さん、ありがとうございました。

そのほかに、ふたつ新しい動きがありました。

ひとつは、リンクをようやく、
少しずつアップし始めたこと。
リンクの許可をいただくために、
仕事の合間に、久々にメールしあう人とやりとり。
何の用もないと連絡もとりにくいですから、
リンクするかいもあったというものです。

メールの特質上、同じ文章を一度に大勢に送るのも可能。
しかし、やはり受け取る側の心情を考えたら、
個別に誠意を持ってお願いしたほうがいいと思います。
相互リンクをお願いするなら、なおさら。
私のほうも、その人のことを思い浮かべながら
メールにいろいろ書けますしね。
お返事を読むのも、これまた、いと楽しです。
少しずつ連絡を取り合っては、
リンク先を増やしていきたいです。

もうひとつの動きは、なんとまあ。
当店第一号のお客様である「居ぬ」さんに
最初の2冊に加えて、さらに4冊もご注文いただき、
それだけでも感謝感激。
本好き、ネコ好きの「居ぬ」さんに
相互リンクのお願いをしました。
そして、当方の日記を読んでいただき、
「居ぬ」さんのお母様が手芸がお得意で、
ブックカバーなど雑貨作りに協力できるかも、
との大変ありがたいお申し出をいただきました。

「居ぬ」さんはデザイン関係の仕事をされていて、
同居人の「ミワちん」ともどもイラストも上手。
メールのやりとりを重ねているうちに、
こういうのはどう? ああいうのは? と意見交換。
「居ぬ」さんは、いろいろアイディアを
考えるのがお好きだそう。私と同じです。
私としては紙のブックカバーも作りたいのですが、
当店の赤字状況もご考慮いただき、
コスト面、手数、実現性など考えあわせて、
まずは、しおりはどうでしょう、とご提案いただきました。
値段をつけられなくても、おまけとして
喜んでいただけるレベルのものだったら
案外、近い将来、用意できるのではないかと。
ロゴやイラストも考えてくださるとのこと。
追い追い、ほかの雑貨も考案していけそうです。
ちなみに「居ぬ」さんHPは、リンクしてあります。
描き文字やイラスト、いい感じでしょう。

ブックカバーは、友人が手作りしたものも
そのうち委託という形でご紹介したく、
そちらもいずれ、実現したらと思っております。
のぞいてぶらぶら過ごしだけでも楽しめるように、
本&本の周辺の雑貨をだんだんに扱っていきたい。
10年ほど前にNYでいいなーと思った書店っぽい
イメージに一歩一歩、近づけていきたいと思います。
無謀というか、高いきわみの夢かもしれませんが、
こうしたいとイメージを思い浮かべるところから、
物事は発展していくと思いますので。

しおりというと、カエル書房さんのマネと
思われたらまずいでしょうけど、
本好きにとっては、やはりもっとも身近な雑貨。
書泉グランデのかわいいしおりは有名ですが、
同じ本を買うなら、あのお店で買いたいと思わせますね。
ひところ書店で無料でもらえた
新潮文庫のパンダ型も好きでした。

オンライン書店を始めてみて、
初めてやりとりする人が増えて、
さまざまな人と一緒に何かを考えたり、
何かをやってみる機会ができてきました。
思わぬ副産物ですが、とても楽しい。
もちろん、いろいろツライ思いもするのでしょうが、
それを補うにあまりある充実感です。

予想以上に初期投資はなかなか回収できず、
かえって出費はかさむ一方。
在庫は増える一方で、家のスペースは狭くなるばかりです。
それでも自分の趣味をかねた仕事と考えれば、
極上の趣味 兼 仕事と言っていいかもしれません。
あれこれ工夫するのが好きな人にとっては、
想像以上に、いろいろやりようがあるというか、
クリエイティブな魅力・可能性に満ちています。
オンライン書店の店主さんは人それぞれでしょうけど、
私は今のところ、そう思っています。

2003年6月18日 記


久々に海に潜ってきました

梅雨の合間、夏の陽射しでしたね。
久々にダイビングしてきました。

今日は、湯河原近くの伊豆山へ行ってきました。
「伊豆山」は、知る人ぞ知るダイビング・スポット。
昔ながらの情緒が漂う漁港から
小さな漁船で沖合いへ。
もわもわーっと、もやがかった空気の層が重なり、
海の色は伊豆ならではの深緑。
グリーン系の絵の具をあれこれ織り交ぜて、
さらに、スミをかぶせて、紗をかけたような独特の色です。

ダイビングは本当に久々。
やはり継続は力ですね。
間をあけすぎて、感覚がにぶっていました。
あけすぎたせいか、行く前は腰が重くて、
やっぱ家で寝てようかーって言いたいぐらい。
以前、ちょくちょく潜りにいっていたころは、
とくに何も考えなくても自然と海にたどりつけ、
ダイビング自体もすいすいーっと気持ちよく
できたのですが、今日は自分の所作がきごこちなく、
「あれ?」「うむむ?」の連続。
1本めは、ウェイトが重すぎて、速く潜行したため、
耳ヌキが追いつかず、無理したら耳が痛む痛む。
2本めは、マスクをつけるのを忘れて海に入り、
漁船の方に「マスク、マスク!」と教えてもらいました。

こんなに暑くても、海は温まりにくく、
水温はまだ20度ー21度。
30分も潜っていると凍えてきます。
しかし、コアジやメジナの群れはじめ、魚影が濃く、
ソフトコーラルも妖しい美しさ。
カジメやサザエ、ウツボの多いプランクトン(栄養分)
豊富な海。その中にわが身を運んで置かせてもらう気分は、格別。
あ、こんな魚いるな、とか、きれいだなー、
なんて思いつつ、ぼーっと海の中を眺めます。
生命をはぐくむ海。目をこらせば、そこかしこに
命ある生物が彼ら彼女らの日常生活を送っています。
私は死んだら海に返してほしいと家人に頼んでいますが、
生命のおおもとは海から発して、やがては
海へ戻っていくのだろうか、いつか自分の返るところは
やはりここなのだろうか、と、ぼーんやり思いました。
生がある今、海の光景や音を記憶に刻んでおこうと
目をこらし、耳を澄まして、ほわほわ漂っていました。

夜型人間ですので、朝6時出発となると、
寝るに寝られず。一睡もしないで出かけました。
眠くて朦朧としており、太陽が目にしみました。
最近ジムで鍛えていないので、タンクや器材の重みが
骨をきしませます(おおげさすぎ)。
水中にいても、船や陸で移動しても、本当にしんどい感じ。
自分の体の衰え、トレーニング不足を思い知らされました。
それにつけても、趣味を通して職種の異なる
人と出会えて、しかも、ともに海に潜るって、
おもしろ摩訶不思議な体験です。

皆様は、どんな週末でしたでしょうか。
私は、なかなかいい週末でしたよ。

21日は、当方リンクにも登場の「居ぬさん」
「ミワちん」と打ち合わせでした。
海ねこのロゴ、しおりやカード、
いつか展開していきたい雑貨類について。
ものづくりや創意工夫が好きで、
将来的な夢・展望をいっぱい持っているお二人。
一緒に過ごすことができて、楽しい時間でした。
3人で、たまたま通りがかった高円寺の
猫雑貨屋「猫三昧」に入ったら、
店主がまた印象的な人物。
好きなことを追いかけているとき、
人はもっともエネルギーを持てるということを
体現されていらっしゃる。
店内には、猫グッズ&アートのほかに、
猫本コレクションも充実。
次々に魅力的な本をご紹介くださり、
3人で歓声のあげどうし。すっかり長居してしまいました。
「猫三昧」はさっそくリンクいたしましたので、
ご興味のある方はごらんください。

西荻窪の布地屋さん、猫雑貨のお店にも
居ぬさんミワちんに連れていってもらって、
ものづくりの楽しさを改めてかみ締めました。
人と出会って、展開がふくらんでいくって、
わくわくします。
何人かで何かをしようとすると、
大変なことがついてくることもままありますが、
どうなるのかなー。
どうにか続けていけますように。

その後、西荻窪の古本屋5軒をチェック。
私の好きな「音羽館」は、相変わらず
品ぞろえ・居心地ともにスペシャル。
古本をどっさり買いこんで荷物が重く、よれよれでしたが、
心はうきうき軽やか&爽やかでした。

「海ねこ」が自分ひとりだけの秘密の趣味だったら、
本当にやりたいようにやって、
いやになったら投げ出して、いつ店を閉めようとも
自由ではあるでしょう。
しかし、展開していくにつれて、
お客様に支えていただき、
ものづくりでお力ぞえくださる方とも
出会えて、いっそう前向きな気持ちになりました。
あれこれ考えながら、少しでも長く
続けていけるように工夫・努力していこう。
背筋がしゃんとして、立ち振る舞いを正す気持ちです。
家人には「だれかのためにやらなくちゃと思ったり、
負担だなとつらく感じるぐらいだったら、
やめたほうがいいよ。本当にやりたいんだったら、
やればいいよ」と言われました。
寝不足のため、乱文、お許しください。あ、乱文はいつもか。
改行のタグを貼り付けていくだけでも、今宵つらいです。
読んでいただきまして、ありがとうございます。

2003年6月22日 記


個性を出す難しさ

リンクするご許可をいただくため、
あちこちのオンライン古本屋さんを
のぞいては、連絡をとっています。
合間を見て、本当に少しずつ少しずつ。

主に食に関する本を扱う「フーディーズ・
ブックストア」のようなお店もありますし、
建築関係やインテリア本を中心に扱うお店もあります。
オンライン古本屋と一口に言っても、
本当にいろいろなお店があるんですね。
店の数だけ、それぞれの持ち味があります。

リンクのお願いをする機会に、
諸先輩とメールをやりとりします。
これが実に勉強になります。

すでに何年も続けてきているお店の方々は、
皆さん、対応もしっかりしています。
私のようなズブの素人の相手など、
面倒がって当然なのに、むしろ逆。
余裕があるのでしょうか、ご丁寧に
接してくださる方が多いようです。
参考になるお言葉をたくさんいただきます。

長く続いているオンライン古本屋さんには、
それなりの魅力、それなりの理由が必ずあります。
それぞれのやりかたでしっかり続けていて、
いずれも、なじみのお客様がついているのでしょう。

ブランド品や高級化粧品と違って、
古本は1冊売れても、せいぜい何百円かの利益です。
よほど、どんどん仕入れて、どんどん売っていくか。
(資金も必要です。山ほどの在庫の管理がまた
大変になってきますね。置き場所も必要です)
あるいは、少数精鋭で、高価な良質のものを仕入れて、
買ってくださる人がいれば利益率も高くなるでしょう。
それには目利きをはじめ、スキルが必要ですね。
もちろん、売れそうな本を安く仕入れて高く
売ればいちばんでしょう。
そのためには、よほど経験を積み、知識を身につけて
スキルアップしていかないと無理でしょう。

あとは、1冊につき何百円かの利益だとしても、
おなじみの固定客の方に何度も買っていただくか。
まとめて何冊も買っていただければ、
本当にありがたいことですよね。

自分が利用者だとしたら、
何度ものぞいてみたくなるお店、
しばしば立ち寄りたくなるのは、
どんなオンライン古本屋さんだろう? と
考えてみます。
しばしばのぞいているうちに、
ついつい本を買うのは、
どんなお店だろう…?????

今、感じているのは、
お店のカラー(個性)をきちんと持つ必要性です。
オンライン古本屋業界全体を見れば、
似たようなお店ばかりが寄せ集まったら、
資本力がある大きな店のみが生き延びていくでしょう。
むしろ、専門分野を持つ古本屋がたくさん
寄せ集まった状態にしていくほうが、
小さいお店も含めて共存共栄していけそうな気がします。
どうなんでしょう。

オンライン古本屋を続けていくと、
少しずつ欲が出てきて、あれもこれもと手を広げ、
いろんなジャンルの本を置きたくなります。
幅広くさまざまな本があるお店は魅力ではありますね。
しかし、それをカラーとして打ち出していくためには、
そうとうのセンスとエネルギー、資金が必要でしょう。
私のように小規模でどうにかやっていくためには、
やはりジャンルを絞り込んで、
こつこつと本を集めていくしかないのかなと
いう気がしてきました。
“あ、あの本なら、あの店にあるかも。
見てみよう”と、思い出していただけるようにならないと。

ほかには、のぞいて楽しいHPを
構成していく工夫ですね。

いずれにしても、
ダメだったら、すぐやめちゃえばいいんだ、
試しに始めてみよう、なんて、
いい加減な気持ちのままでは長く続けられません。
それは少しずつ、じわじわとわかってきました。
在庫がたまる一方だったら蔵書にすればいいと
最初は思いました。もちろん、そんな甘い気持ちだけで
長く続けていけるわけはありません。

この古本 海ねこを始めて
まだ日が浅いですが、人さまから
どんな印象を持っていただいているのか、
感じ取ってきたことがあります。
お客様あってのオンライン古本屋ですので、
どんなイメージを持っていただくかは、
考える必要があると思います。
とある方にはお世辞半分だと思いますが、
「目録の本の題名を見ているだけでも癒されます」
と、リンクのとき書いていただきました。
友人からのメールには「うみねこ開くといつも思うよ。
昼下がりに古い柱時計がボーンボーンと
なっている空間がそこにあるって。」と書いてありました。
ヨイショとは知りつつも、そうなのかーって
参考になりました。(T、ありがとう!)
今すでに、そういうカラーが出来上がりつつあるなら、
せっかくですから大事にしていこうと思いました。

自分がやりたい方向性のビジョンを持つとともに、
目指すカラーへより近づけていけるように、
少しずつコツコツ築き上げていかないと。
あれやこれや手を出しすぎて、
ワケわかんないようにしてはいけないな、
気をつけなくては、と思いました。

私に欠けがちなので注意と、
よく家人に言われるのは、
俯瞰して全体を見渡す目、だそうです。
難しいですね…。

「古本 海ねこ」、いつまで続くんだろう…。
ぼんやり物思う私の横で、ねこが熟睡しています。
皆様、お好みの本が見つかりましたら、
ぜひお買い上げくださいませ。
よろしくお願いいたします(ペコリ)。
2003年6月24日 記


古書会館、古書店めぐり

きのうは、古書展と古本屋めぐりにあけくれた1日。
まずは、新宿古書展をのぞきに、
高円寺駅から徒歩3分の西部古書会館へ。
プレハブ小屋に入る前に、荷物を預けて、
荷物札を受け取ってスリッパにはきかえます。
今まで、あまり足を踏み込んだことのない世界。
早稲田、立石あたりの古本屋さんの棚もありました。
さすがに、ブックオフとは品ぞろえが違います。

「枕の文化史」、欲しかった。でも、
何冊も買いたいので、単価の張るものはガマンガマン。
安いもの中心に12冊購入。
いちばん高かったのは「福永武彦詩集」と
「金子光晴詩集 こがね蟲」(大正12年刊。
昭和45年に名著刊行会によって復刻されたもの)。
高いといっても各700円ですけどね。
勉強不足で、古書としての価値はよくわかりませんが、
それ以前に、自分の蔵書用に欲しかったので。

「6時閉店でーす。ありがとうございましたー」
の声にせきたてられて、残りの棚をざーっと
見ながら移動していきます。
足元のカゴに無造作に置かれていた
「ミュージックライフ 昭和56年1月号臨時増刊
ジョン・レノン追悼版」を発見。
迷わずに購入しました。
海ねこに出せないことはないけど、
ごめんなさい、これはちょっと手離せないかも。
合計12冊、5617円で購入。

駆け足で見てしまったのが心残りですが、
古書展って、いいですねー。
今度からもっとまめに回ろう。
ついつい買い込みすぎるので、
車で行ける距離だといいんだけど。
それにしても、オンライン古本屋を始めなかったら、
私はいまだに新刊の書店ばかりを回っていたかも。
遅ればせながら古本の楽しみを知ることができ、
新たな景観が開けてきた感じです。

その後、西荻窪へ。
ブックストア&カフェ「ハートランド」は、
行きたいと思い続けつつ、行くと水曜で
定休日だったり、閉店後だったり。
ようやくお邪魔することができました。
いいなー「ハートランド」。
イギリスの図書館みたいなインテリアに、
入って左手の棚は、本が国別にきちんと整理されています。
右手のほうには、「古本フリマ」として貸している
本棚もあり、杉並北尾堂、うさぎ書林、
Harumin Kosho Centerの本などがありました。
興居島屋の絵本もかなりあり、1冊1冊、眺めてきました。

クラシック音楽が静かに流れる中、
充実した本の並びをゆっくり眺めていく
気分は格別です。生きる喜びといっても過言じゃない?
ゆっくり選んで、5冊、2200円分、購入。
(2冊は、杉並北尾堂の棚から)

勇気を出して、店主の齊木さんに挨拶。
オンライン古本屋を始めたばかりであることを
お伝えして、名刺をお渡ししました。
名刺のURLを見て、すぐさまノートパソコンで
当店サイトをのぞこうと試みる齊木さん。
しかし「あれ、、、、、」開けない。
おかしいな、、、、、
杉並北尾堂にリンクしていただいたばかりなので、
そちらから入っていただきました。
ジャンルを一瞥して
「絵本はいいですね。あまりないから」と齊木さん。
私の内面はひそかに揺れます。
“そうかー、それ以外は厳しいのかな”と、チラリ。
紀行、詩集、など、ハートランドと共通の
ジャンルもありますが、品ぞろえは雲泥の差。
海ねこのそれは、お話にならないと思われても、
否定できない感じ…。しゅん。
「絵本はそこそこ人気もあるし、やりたいんですけど、
仕入れが結構、難しいんですよね」と
ぼそぼそっとお答えすると、
「興居島屋さんなんかも苦心してるみたいですね」と。

「何年で、ここまでのお店にされたんですか」と
お聞きしました。
西荻窪のこの場所でお店を始めて6年だそう。
「オープンのころから、こんな感じですよ。
本当はオンラインのほうも目録とかもっと
ちゃんとやればいい、ってよく言われるんですけどね」
と、さらりとおっしゃってましたが、
わずか6年で、あれほど充実した本の並び、
しかも、カフェも併設。企画も次々に打ち出しています。
客足もまったく途絶えません。
かなり努力してらっしゃるからこそ、
今の状態を維持することができているのでしょう。

かけ出しの私相手に、
今度こういう催しをやる計画があってと
お話してくださったり、
「まだ右も左もわからなくて、うろうろしてます」
とつぶやく私に
「うさぎ書林さんは、BBSで
オンライン古本屋についての質問に
答えてますね」と教えてくださったり。
帰り際に本を肩に背負って「体力勝負ですよね」と言うと
「これがいいですよ」とガラガラ、キャスターつきの
台車をひく手振りをしてくださいました。

さて、西荻窪に行くと必ず立ち寄る音羽館へ。
こちらもジャズが静かに流れて落ち着ける店内。
ジャンル別にきちんと整理された古本たちが
気持ちよさそうに並んでいます。

すでに17冊買ってしまっているので、
それ以上、買いこんで、
持ち帰れなくなったら大変。
目当ての棚だけさらりとのぞいて、2冊購入。
ほかはあえて見ないようにして、お店をあとに…
しようとしたのに、やっぱり店頭の均一コーナーは
一応、のぞいていくかと思ったら、やばし!
海ねこテイストのジャンル、しかも美本が
え、これもある! あれもある!
次々、手にとってみたら、あっという間に15冊!
19冊+15冊かー。持ち帰れるかどうか不安。
でも、どれもこれも好きな本ばかりで、
減らすに減らせず。えい、買っちゃえー。
「すいません。これもお願いします」と
15冊、抱えてレジへ引き返しました。
「この前来たときより増えていて、
いい本が多くって。
この値段でいいんでしょうか、すいません」と
頭を下げると「いいんです。古本屋さんも
買いにくるんですよ」と店主の男性はにっこり。
ドッキーン、それは私です、と思いつつ、
照れくさくて名乗るタイミングを逸しました。

その後、北尾トロさんのブックカフェへ
立ち寄るつもりだったので、お代を払って、
「あとでとりにきますので、預かっておいて
いただいてもいいでしょうか」とお願いしました。
快く了承していただきました。
面が割れると気軽に本をあされなくなりそうで
残念ではありますが、お話もしたいので、
今度、きちんとご挨拶したいと思います。

さて、西荻窪で29日まで北尾トロさんが
開催中のブックカフェへ立ち寄りました。
「サパナ」はもともと、ギャラリーとして
貸しているカフェだそう。
カードや絵がディスプレイしやすいように
壁に白枠のフレームが組んであり、
古本1冊1冊の顔を見せてありました。
カウンターの中に立っている人は、
単行本の写真どおりの北尾さん。
20代前半?の男性が熱心に質問していました。
古本屋に入るにはどうしたらいいんでしょうか、
出版界で仕事したいんですけど、どうしたら?
北尾さんの場合は、どうやって入ったんですか?…云々。
北尾さんはひとつひとつ丁寧に答えていたので、
挨拶は後回しにして、まずは古本を見せてもらいました。
杉並北尾堂のラインナップというよりも、
女性好みの本や雑誌も多く、
ブックカフェを意識した本の並び。
いろいろなラインナップを作れる才覚と
本をしっかり集める力に改めて尊敬の念を抱きました。
沖縄関連、動物園、食に関する本や雑誌など6冊購入。

ネコの洋書の絵本がまた、なんてかわいい!
2800円と、安くはないので迷いましたが、
ブックカフェ最終日の28・29日は2割引でしたので、
この機会にと思いきって購入。
あとで「これ、よく残ってたなーって
僕も思うんだよね」と北尾さん談。同感です。

男性と北尾さんの話はまだまだ続いていて、
「この本、ください」と割り込める空気ではありません。
店内にいた子猫を眺めて
「かわいいねー」と話しかける私。
「ネコ、大丈夫ですか」と北尾さんが
声をかけてくださったので、これ幸い。
「大好きです! あのー、古本 海ねこです」と
ご挨拶しました。
つい最近、北尾さんにリンクしていただいたばかりで、
そのお礼もぜひ言いたかったのです。
なのに、緊張してしまって、うまく話せない
小学生なみの私、、、、。
北尾さんのほうから
「三鷹のフォスフォレッセンス(古本カフェ)
行きました? 僕はつい最近、ようやく行きました」と
話しかけてくださいました。

北尾さんの著書「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」
を読んで、オンライン古本屋っていいかも、と
思った人は大勢いるでしょうけど、私もそのひとり。
まるで総本山の大将にお目にかかるような緊張感。
しかし、トロさん(いきなりこうお呼びしたら
失礼でしょうか)のお人柄でしょう。
仕事の内容を聞いてくださったり、
初対面なのに、以前からの知り合いだったかなと
勘違いしてしまいそう。物腰がとてもあったかなのです。

私「さっきハートランドに行ってきました」
トロさん「音羽館も行きました?」
私「あ、まさにそこで買いすぎちゃって」
トロさん「均一コーナーもいいでしょう」
私「そう、そこで買いすぎちゃったんです。
本当に居心地がいいお店ですよね。つい長居したくなります」
トロさん「そう。そうなんだよねー」と、
店内の光景を想像しているかのような、うっとり顔。
トロさん「あそこのご夫婦はきのう、
ここに来てくれたんだけど、
ご夫婦とも古本好きで、いい人たちでねー。
ネコが好きでねー」と、楽しそうに話していました。
トロさんって、本当に古本屋が好きなんだな、
ご自身も古本屋で過ごすのが好きなんだって
いう愛情が、とてもよく伝わってきました。

結局、トロさんのブックカフェで
2割引で4020円分、たっぷり購入。
おまけの単行本・文庫本まで選ばせていただいて、
得した気分です。あとでHPの日記を読んだら、
買取にいったとき、自分のオンライン古本屋では
扱わないジャンルなので、本を買ってくれた人に
無料で選んでもらうことにしたそう。
すでに34冊も購入してしまった私は、もはや
それ以上、持ち帰る自信がなく、お代を払って、
翌日、またとりにうかがう約束をしました。
トロさんを訪ねる人が続々と訪れて盛況。
長居せずに失礼しましたよ。
ネコのモー(3か月。牛柄に似ているので
「モー」と名づけたそうです)、かわいかったー。

肩に食い込んだ本はずっしり重く、
すばらしい品揃えの古本屋さんたちに圧倒されました。
ああ、古本 海ねこは、まだまだぜんぜんだな、と
痛感し、強烈パンチを受けまくり。
いい本を買いまくり高ぶった興奮と、
お金を使いすぎた反省と、
ショックと刺激と尊敬と…。
いろんな感情がいり乱れつつ、
どうにか無事、帰宅いたしました。

結局、きのう1日で合計1万3837円分、本を購入。
私物も多いですが、相変わらず本を買う一方。
売るほうはなかなか追いつかないままです。
最大の反省は、ハートランド齊木さんの
ご指摘どおり、私の名刺に刷り込んだ
海ねこのURLが正しくなかったこと!
家に帰って気になったので、確かめたところ、
名刺に刷り込んでいたURLは、
「WWW.」が抜けていました。
なんてことだ。これまで何人もの方に
「オンライン古本屋もやってますので」と
お渡しした名刺の文字が間違っていたとは。。。
しかも間違ったまま気づかずに過ごしてきたとは。
まぬけすぎて、自分で自分にあきれました。

2003年6月29日 記


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