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covercover品切れ 青い鳥
ます美書房 ます美のおはなしえほん 出版年不明
2400円 B 当時の定価150円

おそらく昭和40年代あたりのものと思われますが、出版年も画家の名前も書かれていません。
クレジットを入れないぐらい、画家の扱いがあまり良くなかったのかもしれません。
しかしながら、描いている人は一切手抜きなし。
メーベルリンクの不朽の名作を、見ごたえ十分、みごとな絵本に仕上げています。

ハードカバー サイズ 天地 31.6センチ×左右 22.6センチ

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cover洋書絵本 英語語版 A CHILD'S GARDEN OF VERSES(子どもの詩の園)
Robert Louis Stevenson Pictures by Gyo Fufikawa(ギョウ・フジカワ)

A COLLINS BOOK 72年 second impression 1973
2900円 B 表紙角ツブレ シミ

マーガレット・T・ターラント、アリス&マーティン・プロベンセン、ターシャ・テューダー・・・、
さまざまな人が絵本を手がけている詩集ですが、こちらは今は亡きアメリカの日系絵本作家ギョウ・フジカワによるもの。
見開きごとにカラー、モノクロと交互になっています。
ねこや犬があちらこちらに描かれています。和服の少年も登場しています。
花々に緑に青空に、そこに描かれている子どもたちの無邪気な笑顔。
ノスタルジックな絵柄に心くすぐられます。あのころの私に立ち戻っていくよう。
甘いような、どこか苦いようなあのころ。子ども時代を宝物と感じている人は、どれほど多いことでしょう。
日本語版は「うたのはなぞの」(絶版)。

ハードカバー 109ページ サイズ 天地 31センチ×左右 21.8センチ



covercover洋書絵本 フランス語版 Becassine Pendant La Guerre(戦時中のベカシーヌ)
J.Pinchon  Librairie Henri Gautier(アンリ・ゴルチェ ブックショップ)Edition de la Semaine de Suzette

Gautier et Languereau, Paris 1919年
1万1000円 送料サービス(代引除く) Bー 経年相応のイタミ P5、P23に子どもの落書きかと思われる青いペンのあと

ちょっとモンヴェルを思わせる構図の表紙ですよね。
モンヴェルのように淡い色づかい、繊細なタッチですが、「中ページを見る」をご覧いただけばおわかりのように、
1ページに8−9コマほどイラストが入ったコミック絵本です。

BECASSINE(ベカシーヌ)ちゃん。名前は知らなくても、絵柄は見たことがあるのでは?
ベカシーヌ(BECASSINE)は、フランス語で「おっちょこちょい」という意味。
もともとは、1905年、アンリ・ゴルチェによって少女雑誌「La Semaine de Suzette(シュゼットの1週間)」に連載されたフランスの人気キャラクターです。
出身地ブルターニュ地方の民族衣装である白いエプロンと白い帽子がトレードマーク。
ブルジョアの家庭に雇われて、一生懸命だけどドジばかり。
おっちょこちょいだけど元気いっぱい。お茶目で憎めないお手伝いさんで、「フランス版 サザエさん」といったところ。

2005年、100歳を迎えたときは、フランスの各地でイベントが行われ、大変な盛り上がりだったそうです。
記念切手が発行されたり、モンパルナスの書店で行われた展示ではソニア・リキエル、
ミシェル・クラインら有名デザイナーによるベカシーヌちゃんまで登場。いかに愛されているかわかりますね。

この本は「La Semaine de Suzette(シュゼットの1週間)」誌に連載されたものが本になったもので、
戦争のころのベカシーヌちゃんのお話。
軍人さんたちがあきれてしまいながらも思わず微笑んでしまうような、ベカシーヌちゃんの活躍が描かれています。

ベカシーヌ・シリーズ、新しい版のものは入手しやすいですが、古い時代のものはさにあらず。
とりわけ、フランス黄金の1910年、1920年代のものは特別です。
本書には、元持ち主の1924年のサイン入り。当時ついていたらしい別冊付録はありません。
背はクロス貼り。ひとりの生涯ぐらい長い年数を経ていますので、それなりにイタミはあります。
本場フランスですから人の手間隙をかけて製本し直され、生き延びてきた古書かもしれません。
長年の間に、何人もの手を経ているのでしょうね、紙がやわらかくなり、よい感じ。
独特の色づかいは、当時の印刷、紙、インクなど、ぜひ古い絵本でお確かめいただきたい。
ページによっていくらか版ズレがあり、かえって当時の印刷のさまを思わせられます。
フランス語がわからなくても、絵柄から想像できますので、お楽しみいただけると思います。

ハードカバー 62ページ サイズ 天地 31.6センチ×左右 22.6センチ

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cover洋書絵本 フランス語版 Becassine Voyage(ベカシーヌ、旅に出る)
Caumery・文 J.Pinchon・絵 Edition de la Semaine de Suzette

Gautier et Languereau, Paris 1926年
1万1000円 送料サービス(代引除く) Bー 経年相応のイタミ

列車での旅あり、飛び出すベッド相手の奮闘あり、
登場しますは、パリジェンヌから田舎の親父さんから、
バンジョーを手にしたブルースマン?の黒人さん、アメリカン・ネイティブ・・・などなど。
カウボーイ相手に投げ縄にまでトライ。
ベカシーヌちゃんの旅は並大抵のものでなく。のびのびした絵柄で、勢いいっぱい。
当時の街並、人々の服装などを眺める楽しみもあります。

フランス黄金の1920年代のものです。当時ついていたらしい別冊付録はありません。
背はクロス貼り。ひとりの生涯ぐらい長い年数を経ていますので、それなりにイタミはあります。
長年の間に、何人もの手を経ているのでしょうね、紙がやわらかくなり、よい感じ。
独特の色づかいは、当時の印刷、紙、インクなど、ぜひ古い絵本でお確かめいただきたい。
フランス語がわからなくても、絵柄からあれこれ想像できますので、お楽しみいただけると思います。

ハードカバー 64ページ サイズ 天地 31.6センチ×左右 22.6センチ

扉を見る
中ページを見る

cover洋書絵本 フランス語版 Becassine s'amuse(愉快なベカシーヌ)
Caumery・文 J.Pinchon・絵 Edition de la Semaine de Suzette

Gautier-Languereau, Paris 1994年
2600円 B+

絵本を開いて表紙と背表紙をくっつけるとグルリ丸くなります。
赤いリボンを結びあわせると、ポップアップのグリーティングカードのように立体的になる、
いわゆる「メリーゴーラウンド絵本」です。
5パターンの絵柄にそれぞれ奥行きがあり、立体的に楽しむことができます。

皆で海に、プールに、山に、湖に、雪ゾリにと遊ぶ、愉快なさまが描かれています。
サイズはコンパクトで可愛らしい体裁。現代版ベカシーヌ、これはこれでなかなかよいです。
フランス語は短い文章が少しなので、入門者向けとしてもよいかも。

サイズ 天地 9.6センチ×左右 9.5センチ



cover洋書絵本 フランス語版 Mitchi(こぐまのミッチ)No.15 1956年1月号 Trucy 作・絵
Paris
3700円 B+

パリで、そして、ベルギーで、スイスで販売されていた小熊“ミッチ”のコミック。
表面は4色で印刷され、裏面はモノクロ。折りたたんで冊子の体裁になっているので、裏表紙まで入れて全部で8面。
コミックの吹き出しはすべて描き文字。
赤いリボンがかわいい少女とミッチが、雪山で繰り広げるスキーにスケート。
せっかくアツアツの飲み物をポットに入れて持ってきたのに、
氷の上にこぼしてしまい、氷が割れてミッチがドボン・・・。
子どもでも読めるフランス語です。フランス語がわからなくても、絵柄でいろいろ想像して楽しめます。
「最終ページを見る」でご覧のとおり、赤いヴェスパと少女の赤いリボン、少女の青いズボンとミッチの青いマフラー・・・、色づかいがお洒落で可愛らしい。
50年前のものですが、目立ったダメージはなく、状態良好です。
クシャミの「クシャン」はフランス語だと“CHOUM”なんですね。

Trucyのミッチ・シリーズは大変人気だったようで、
“Histoire de Mitchi le petit ours brun”という絵本は、1940年代、パリで出版されています。
また、英訳もされ、英国やアメリカで“Mitchi the little brown bear”という本が出版されています。

サイズ 天地 27センチ×左右 21.3センチ

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coverビジュアル洋書 フランス語版 BRUGES(ブリュージュ)Kris Herteleer
Lannoo 84年
4000円 B+ 背・裏表紙に少イタミ

BRUGES(ブリュージュ)は、英語だとスペルは同じでもブルージュ。
オランダ語だとBrugge ブルッヘまたはブリュッヘ。
ベルギー北西部、フランダース地域の都市で、西フランデレン州の州都です。
ベルギーの代表的な観光都市のひとつ。
伝統的なレース産業のほか、造船業が盛ん。
世界遺産にも定められたその美しい街並みは多くの観光客を集めており、観光産業も発展しています。

ページをめくるたび、ブルージュの街を描いた線描画が連なり、
日本にいながらにして、ベルギーの街を歩いている気分に。
文字、イラスト、レイアウト・・・いずれも品よく、美しい本です。
20年以上前の古書ですが、状態は良好といえます。

ハードカバー 78ページ。サイズ 天地 28.6センチ×左右 22.5センチ



cover品切れ 絵本 はまべには いしがいっぱい レオ・レオニ 作 谷川俊太郎・訳
ペンギン社 79年 2刷
4500円 B カバーヤケ・ヨゴレ・角少イタミ 当時の定価850円

レオ・レオニを愛するご家庭からお譲りいただきました本です。
本書や「こどものとも」を読み返しながら思うのですが、
谷川俊太郎の日本語・力(そんなものがあるとしたら)って天才的ですよね。
その谷川俊太郎が当時、書いた文章がいちばんだと思いまして、
出版時カバーより引用します。

「レオ・レオニの数多い絵本の中でも、ベスト・スリーに入る名作という
評判の高い「はまべにはいしがいっぱい」が、やっと日本でも出版されることになりました。
何故か英語版はすでに絶版とのことで、私の他の
レオニの訳本とちがって、今回はイタリア語版を原本としました。
と言っても、ことばはほんの少しだけ、おまけに色もごらんの通り
・・・それなのにこの絵本はいつまで見ていても、見飽きるということがありません。
・・・(中略)単純なものから出発してレオニはなんという連戦の高みに達したことでしょう。
なんという微妙な味わいをつくり出したことでしょう。これはもう、魔法というしか言いようがありません」

レオ・レオニ(Leo Leonni 1910年〜99年)は、オランダ・アムステルダム生まれ。
スイスのチューリッヒ大学、イタリアのジェノバ大学経済学科に学び、経済博士号を取得。
1931年からミラノで広告デザインを手がけます。同年、ノーラ・マッフィーと結婚しますが、
1939年イタリアのファシスト政権誕生に伴い、ユダヤ系とされた彼はアメリカに亡命(←ウィキペディア情報)。
新聞社の美術担当編集者、企業のアートディレクター、コンサルタントなどを経て、
イラストレーター、グラフィックデザイナー、雑誌アートディレクター、デザインスクール代表など多方面で活躍。
絵本作家としてのデビューは、1959年「あおくんときいろちゃん」ですが、
それまでに一流雑誌、一流企業の広告など手がけてきているだけあり、
すぐれたデザイン性、アート感覚が、いずれの絵本でも冴えています。
1962年、イタリアに戻り、以後の多作ぶりはご存知のとおり。
人気絵本作家として、色彩の魔術師として、世界中の子どもから大人を魅了し続け、
イタリア・トスカーナの老人施設で老衰のため逝去。

カバーに多少ヤケ、軽いソリ、本体に少々シミなどありますが、
30年近く前のものとしては良好といえます。

ハードカバー サイズ 天地 21.7センチ×左右 30.3センチ



cover品切れ 絵本 うさぎたちのにわ りんごのすきなうさぎのはなし レオ・レオニ 作 谷川俊太郎・訳
好学社 75年 80年の2刷
1700円 B カバーヤケ・ヨゴレ・上部ソリ 見返し少シミ 当時の定価1200円

お話も、どこか(わざと?)ヘタウマっぽいイラストも愛すべき絵本。
こちらも、やはりカバーの谷川俊太郎の解説文がよいので、引用します。

レオ・レオニの翻訳は9冊目で、そろそろ飽きでもいいころなのに、この仕事が楽しいと書く谷川。
「技法的には一冊一冊に工夫をこらしながら、レオ・レオニの物語の世界には一貫したものがあります。
自分をさがす部分品とか、兎となかよしになる蛇とか、いろいろ悩んでしまうカメレオンとか、
題材や絵は幻想的なのに、そのお話はいつも私たち人間の生きている現実に根をおろしています。
言いかえるとレオ・レオニの絵本の主人公たちは、いつもほんの少しずつ私たち自身なのだといえるでしょうか。
・・・(中略)主人公たちは、自分たちの弱さを恥じもしないかわりに、自分たちの強さを誇りもしません。
そこに私は、作者の生きものに対する優しさを見ます」

2000年に再版されていますが、それ以前に出版された日本語版です。
27年前の古書ですので、年数とともについた感じのイタミはあります。海ねこに言わせると「古書」として良い感じです。

ハードカバー サイズ 天地 28センチ×左右 23センチ。大型本のため、画像は左右が少し切れています。



cover絵本 うさぎをつくろう ほんもののうさぎのはなし レオ・レオニ 作 谷川俊太郎・訳
好学社 82年・初版
1700円 B カバーヤケ・ヨゴレ・はし少イタミ 当時の定価1100円

こちらも絵柄が技巧に走りすぎず、可愛らしい。そして、なんて愉快な話なんでしょう。
またしても、カバーの谷川さん文を引きます。
レオ・レオニの魅力を余すことなく日本人に広めたのはといえば、やはり谷川俊太郎の功績大でしょう。

「今度の作品の原作には、<ひとつの寓話>という副題がついていますが、
それにふさわしく、簡潔ですが意味深い絵本です。
本当に実在しているものには、影があるのだということは、私たちも実際の人生でよく経験します。
・・・光には影がつきものであり、影は人生を立体的に豊かにするということを、
レオニは見事な技術で造型しきっていると思います」

2000年に再版されていますが、それ以前に出版された日本語版です。

25年前の古書ですので、年数とともについた感じのイタミはあります。海ねこの感じ方ではありますが「古書」として良い感じです。

ハードカバー サイズ 天地 28センチ×左右 23センチ。大型本のため、画像は左右が少し切れています。



cover絵本 英語版 Fish is Fish(さかなは さかなーかえるのまねした さかなのはなし)Leo Lionni(レオ・レオニ)
Pantheon Books 72年
3200円 B カバーイタミ(背との境目に裂け目、裏側かなりシミ) 見返し・扉シミ ヤケ

おたまじゃくしがカエルになって、かつて幼なじみだった魚を訪ねてきます。
魚はカエルの話を聞いて、あれこれ想像をめぐらし、無性に外の世界を見てみたくなります。
そして、ついに、カエルのマネをして池を飛び出してしまって、さあ大変・・・。

絵柄がカラフル。明るく楽しい色調で、お子さんとご一緒に楽しめます。
もちろん、大人が英文にトライしながら、さて、何を語っているのかしら、と想像を巡らす面白みもたっぷりです。
答えはひとつではない、委ねますから見る人がご自由にどうぞ、といった部分は、作者の意図するところでしょう。

この本のカバーには、Mr.Lionniは1939年、イタリアから渡米し、
the Design Department of the Parsons School of Designのトップ、
American Institute of Graphic Artsの代表、
また、長年フォーチュン・マガジンのアート・ディレクターである、といった経歴が紹介されています。

本体はカラシ色に魚を型押ししたクロス装。
ハードカバー サイズ 天地 28.2センチ×左右 23.5センチ 大型本のため、画像は左右が少し切れています。



cover絵本 ドイツ語版 Stuck fur Stuck(ひとあしひとあし―なんでもはかれるしゃくとりむしのはなし)Leo Lionni(レオ・レオニ) ドイツ語訳・James Kruss
Gertraud Middelhauve Verlags 62年 ISBNがあり、80年代の版?
7000円 送料サービス(代引除く) B カバーなし ヤケ

英訳された本では「inch by inch」となっています。
「ひとあしひとあし」という日本語に置き換えたのは、日本語版をこしらえた谷川俊太郎、そして、編集者らの功績。

ちいさな、みどり色のしゃくとりむし。さまざまなものの長さを測ることができ、とても賢いのです。
コマドリに食べられそうになったときも、尾を測ってあげることで難を逃れます。
フラミンゴの首、オオハシのクチバシ、サギの足……、いろいろ測ります。
ところが、ナイチンゲールがしゃくとりむしに難題を出します。
「わたしのうたをはかってごらん」と。測ることができないとナイチンゲールに食べられてしまう!
しゃくとりむしは考えに考えて、スタコラサッサ、ゆるゆると・・・。

尺度って何? 価値観って? 内容に深みがあるばかりでなく、鳥や植物のコラージュがシックで美しく、デザイン性の高い1冊。
好きな絵本が見つかったら日本語版を読んだ次に、古い各国語版をあれこれ見比べてみると面白いと思います。
スキャニングにスキャニングを重ねて絵本作りをしていくと、どうしても、だんだん色合いが変わってくるようで。
これは20年以上前のドイツ語版です。しゃくとりむしがどこにいるか探すことによって、お子さんも楽しめるとは思いますが、
むしろ大人ならではの歓びといいますか、最近の絵本は「紙が白すぎて」という方もぜひ。
造本がしっかりしているのも、うれしい点。

年数とともについた感じのイタミはありますが、ほどよい古び方(こういう書き方をしているとキリがないので、もうやめます。
目立ったダメージがある場合、できるだけ記載しますので)。画像は少し暗めになりましたが、普通にややクリームがかった白地の表紙です。

ハードカバー サイズ 天地 28.5センチ×左右 23.7センチ。大型本のため、画像は左右が少し切れています。



cover品切れ 絵本 かぜのまち 作・絵 駒宮録郎
フレーベル館 79年・初版
1700円 B カバーイタミ(さほど目立たない裂け目・少シワ)購入日の記載あり 当時の定価880円

歩き続けてきた旅人の前が眠りから覚めると、小さな町がぼんやり見えてきます。
家々を天まで積み上げたようなふしぎな町で、シーンとして、呼べど暮らせど返事はありません。
強風により、木の葉のように舞い上がる家たち。
旅人はマントでくるんで町を包み込んでやり、ともに旅立ちます。
やがて、マントからこぼれ落ちた家がちらばり、旅人が歩いたあとに、家が連なり街並になっていきます。
「まちができた。みんな、もどっておいで」

空虚な空間にやがて舞い戻っていく活気。
不思議なお話です。名称はなんというのか、細かい網目の入った丈夫な紙が使われています。

あとがきには、新宿の高層ビルの谷間を歩いていたときの体験談をもとにした絵本だと綴られています。
1915年、埼玉県浦和市生まれの作者。
「従軍10年、復員後、童画界に入る。児童出版美術家連盟創立委員を経て同連盟理事長、理事を歴任、現在に至る。国内、海外著書多数」
とプロフィールにありますが、著者の心に吹く冷たい風、そして、垣間見た光を感じ取れるような1冊だと思います。
ご自由に味わってみてください。

ハードカバー サイズ 天地 26.4センチ×左右 21.2センチ



cover品切れ 絵本 ブローチ 内田也哉子・作 渡邉良重・絵&デザイン
リトルモア 2004年 2006年の5刷
1200円 A− ビニカバー 定価1714円

内田也哉子、初の書き下ろし物語。
薄紙にきれいなイラスト、そして、ぽつぽつと詩のように綴られた文章。
薄紙なので、次のページ、そのまた次のページと透けて見える仕掛けです。
出版当時、話題になったと思いますが、ハヤリモノかと思っていた海ねこが間違いでした。むしろ普遍性あり。
非凡なふたりのコラボレーション。編集がいいのかな、ひじょうに丁寧につくられています。
制作費かかっていますよ。リトルモアの勇気に驚き。

「絵本」というよりは、詩のあるアートブック。
プレゼントしたい人を何人か思い浮かべました。
あなた、あるいは、大事なだれかのためにどうぞ。

ハードカバー 128ページ  サイズ 天地 18.7センチ×左右 26.2センチ



cover品切れ 絵本 フランス語版 L'OEUF(たまご)Monique Martin(モニック・マルタン)
パリ Duculot 83年
6000円 送料サービス(代引除く) B+ カバーなし

日本語版「たまご」は、通りやすいという理由からでしょうか、ガブリエル・バンサンの名前になっていますが、
ご覧のとおり、83年のフランス語版にクレジットされているのは、Monique Martinの名前のみ。
絵本を出すときはガブリエル・バンサンの名を使ってきた彼女ですが、
アーティストとして制作した作品群は、本名“Monique Martin”(モニック・マルタン)の名で出しています。
つまり、この作品は、アーティストとしてつくりあげたもの。
文字が一切なく、イラストのみ。
今は亡きモニック・マルタン(1928年〜2000年)が未来に託した置手紙ともとれますが。

83年に出版されたフランス語版は、表紙のイラストからして日本語版とは異なります。
木炭デッサンのディテールまで忠実に再現された印刷。
印刷も造本も、本の内容に沿うべくというのか、凛とした印象です。
Blondiau printによってベルギーで印刷されたものとクレジットが入っています。
元所有者がひじょうに丁寧に扱っていたようで、状態は極めて良好。

ハードカバー サイズ 天地 19.7センチ×左右 26.4センチ



cover品切れ 絵本 アニメ・しりとり 古川タク
すばる書房 77年・初版 当時1400円
3500円 B カバーイタミ

巻末にフィルム・シートがついています。
透明にタテ縞の黒線が入ったもの。
このシートを2刷りの絵の上に置いて、左から右へとゆっくり動かすと、あら不思議。
絵の中の人物や動物が走ったり、腕を上げたりと動くんです。
絵がしりとりになっているので、絵の名前を読みながら文字でも遊ぶことができるお楽しみ本。
作者が「もし自身の作品で復刊するなら、この本」と推奨した作品。
ブッキングから復刊されたものの、現在絶版。

お子さんがかなりお楽しみになったようで、カバーやフィルムにイタミがあります。でも、まだまだ現役。
ハードカバー サイズ 天地 18.9センチ×左右 26.4センチ



cover品切れ アンデルセンーわたしの少年のころー 高橋健二・訳 いわさきちひろ・絵
実業之日本社 81年・初版
3500円 B+ カバー 当時の定価1200円

巻末には、生前のちひろが綴った「アンデルセンの町をたずねて」も収録。

「ハンス・クリスチャン・アンデルセン(一八〇五〜一八七五年)は、一生のあいだ自分の身の上を好んでひとに語って聞かせました。
少年のころからもそうでしたが、十七歳のときの処女出版でも、
まえがきで自分の身の上を語っており、自叙伝を五度にわたって書きついでいます。
そして、死んだ年の日記にも<きょう、自分の身の上を書いた>と記入しています。
・・・アンデルセンは自叙伝を<わたしの一生は美しいメルヘン(童話)です>と書きおこしています。
その一句がたいへん有名になりました。
それはアンデルセンが天性のメルヘン作家だったことを示しています。
現実はかれにとってきびしく苦しく、さびしくみじめでさえあったのです」(高橋健二 あとがき より)

1967年、同社から刊行された「アンデルセンものがたり」(「アンデルセン幼年童話全集の1冊)を書き換えたもの。
その挿絵を描く前年に、いわさきちひろはアンデルセンの生地オーデンセを訪れて、たくさんスケッチをしてきました。
ひちろが描いた挿絵を
「また世に出したいと、わたしはかねてから願っていましたが、
こんどその運びになったのを、心からうれしく思います。
地下のいわさきさんも、ちひろの絵を愛する方がたもよろこんでくださることでしょう。
・・・今回は小学生から読める一般向きの読み物に書きかえました。
アンデルセンの童話は子ども向きであるだけでなく、おとな向きでもあるのですから」(高橋健二 あとがき より)

ハードカバー 158ページ サイズ 天地 20.8センチ×左右 18.8センチ(高橋健二 あとがき より)

cover絵本の作家たち(2)いわさきちひろ・滝平二郎
月刊絵本別冊 すばる絵本研究 77年 当時980円
1000円 B 僅線引き

「いわさきちひろ」武市八十雄、松本猛、上野瞭、松谷みよ子ほか
「いわさきちひろの絵本海外書評より」「絵本リスト」ほか
(「月刊絵本」74年11月号 75年8月〜76年3月号より再録)

「滝平二郎」斎藤隆介、古田足日
「略年譜」「出版作品リスト」「絵本・銀のフナ」(滝平二郎)ほか
(「月刊絵本」73年5月創刊号、75年6月号より再録)

「本誌は昨秋刊行の「初山滋・長新太・瀬川康男」につづく二冊目の“絵本の作家たち”で、
「月刊絵本」一九七四年一一月号いわさきちひろ追悼号、一九七五年六月号 滝平二郎きりえの世界、
同八月号いわさきちひろ青春の軌跡他から採録したものです。
巻末の「みやげばなし」は、かつて私家版として刊行された木版画による絵本で、
滝平二郎氏三十一歳の時(一九五二年)の作品です。
氏の御好意のもとに、表紙から本文までまるごろ掲載させていただきました」(編集部より)

サイズ 天地 21センチ×左右 14.7センチ



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