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チェコの絵本たち


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ミルコ・ハナーク 2007年1月入荷分・ミルコ・ハナーク その1・ミルコ・ハナークその2
新しめの本
動物と子どもと… その1その2動物の絵本 その1その2
SNDK 50年代ー60年代の絵本 その1その2
パノラマ絵本 ボード絵本とびだす絵本 アルティア 日本語版品切

リクエストにおこたえして、ミルコ・ハナーク(1921年〜71年)の小特集第2弾です。
ハナークはスロヴァキア Martin生まれ。
プラハのアカデミー・オブ・アートで水彩画を学びました。
50年の生涯に150点以上の絵本を残しましたが、その大半は海外でも出版。
チェコスロヴァキア(当時)が産んだ世界的にもっとも有名な絵本作家のひとりです。

ソフトで流麗なタッチは、水墨画をはじめ中国の古美術の影響によるものだとか。
自然界の生き物を描く視線には厳しさと強さがあり、それと同時に、豊かな叙情性・優しさが込められています。
根っこの部分には、生き物、そして「生」に対する限りない愛情があるように思います。
動物を描かせたら天下一品ですが、子どもの絵、そして、物語のイラストもまた、えもいわれぬ味わいです。

前回はどんなお話なのか少しでも知りたくて、英訳の本を中心にご用意いたしました。
今回は、チェコ語、ドイツ語版も。文字が読めないのは残念ですが、
それを補うに充分なほどイラストの力が伝わってきます。子どもに戻った気持ちで、絵から物語を感じ取りたいものです。

英語以外の文字は表示しにくいので、
書名・著者名など正確な表記は画像写真をごらんください。

■Mirko Hanak ミルコ・ハナーク その1■

cover品切れ ドイツ語版 AUS DES FORSTERS TASCHE(森に生きるものたち)
RUDO MORIC・文 Mirko Hanak(ミルコ・ハナーク)・絵

VERLAG WERNER DAUSIEN-HANAU/M 70年 3700円
Bー 見返しと背の間、少ワレ 見返しに記名

作者のRudo Moric(1921年〜85年)の文章がたっぷり。ハナークの絵は、すべてモノクロで48点ほど。
森に生きる雄シカ、雌シカ、イノシシ、クマ、鳥たち、そして、人が、
甘いトーンではなく、自然の厳しさとともに描かれているように思います。
チェコスロヴァキア(当時)で印刷されたもの。

ハードカバー 214ページ。サイズ 天地20.8センチ×左右18.3センチ

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cover再々入荷分、品切れ ドイツ語版 FIEDEL DIDEL GEIGENLIEDEL(もりのうた)
Krista Bendova James Kruss Mirko Hanak(ミルコ・ハナーク)絵

スイス Buchclub Ex Libris Zurich・ドイツ VERLAG WERNER DAUSIEN・HANAU/M 9000円 ドイツ版6000円
スイス版 B+ 状態良好/
ドイツ版はB 表紙角少イタミ 図書館使用本 扉の裏に図書館印、背にラベル、
見開きに小さめの貸出票ポケット、ビニカバ(ブッカー)

66年、プラハArtia社から出版された本のドイツ語版。
今回、スイスの出版社のものと、ドイツの出版社のもの2冊ご用意いたしました(いずれもドイツ語)。

クリスタ・ベンドーヴァの詩と、ミルコ・ハナークのイラストとのコラボレーション。
ハナークお得意の動物や植物の絵はもちろん満載。本書は、それに加えて子どもの絵がたくさん。
いずれも一度見たら忘れられないようなすばらしい作品ばかりです。
ねこの絵も多く、「子ねこちゃん子ねこちゃん」という詩には、
子ねこが片時もじっとしていないから何匹いるのか数えられない…というコミカルな詩に、
ツメがつんつんにとがった子ねこのイラスト。のびのびイキイキと描かれていて、楽しい気持ちに包まれます。
目に光がある動物や子どももいれば、どことなく影がある動物や子どもも。
ありのまま自然のままを愛情を持って観察していて、実にハナークらしいと思います。
また、ハナークの著作の中でも色づかいが大変繊細で、それを美しく再現した印刷技術もすばらしい。

日本語版はかつて「もりのうた」として、木島始(1928年〜2004年)の訳で出版されていました(佑学社 78年)。
英語版、フランス語版のほか、北欧でも翻訳版が出版されました。
本書の英訳版は「原本ほるぷ世界の絵本」(75年)の12冊にも含まれています。
この本を見てミルコ・ハナークに惚れ込んだ人はきっと大勢いらっしゃることでしょう。
本国はもちろん、日本にも欧米にもたぶんきっと…。まさに宝物になる1冊だと思います。

スイス版は経年を感じさせないほど状態良好。保存されてきた環境がよほど良かったものと思われます。
ドイツ版は全体的に状態は悪くありません。ただし、図書館使用本のため全体をビニールカバーで覆ってあります。
接着式のブッカーなので見た目はきれいですが、はがすことは難しいと思います。
中ページの写真は、前回ご紹介した英語版より。

ハードカバー サイズ 天地26.2センチ×左右20.9センチ

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cover品切れ  ドイツ語版 Hinter dem Staketenzaun(動物の詩)
Alfred Konner ドイツ語訳・Altberliner Verlag Lucie Groszer Mirko Hanak(ミルコ・ハナーク)絵

Altberliner Verlag Lucie Groszer 出版年不明 5000円
Bー 図書館使用本?背表紙にラベル 本文文字ページにいたずら描きあり 背イタミ 製本糸ゆるみ

ハナークのイラストの(C)は66年。プラハ・Albatrosから出版されたものの、ドイツ語版です。
下で紹介したドイツ語版“Bilderzoo(絵本動物園)”や、前回ご紹介した英語版“Animal Tales”と
似た作りですが、原著にもっとも近い本ではないかと推察します。
Hinter demは英語でいうと“Behind the”。詩は、出版社所属の翻訳者によるドイツ語訳です。
ハナークの絵に、Alfred Konnerが動物にまつわる詩をつけたもの。動物たちの絵と詩のコラボレーションです。
表紙のイラストがとても素敵で、一度見たら忘れられないですね。さらに何がすばらしいかというと、印刷の美しさ。
ハナークの同じ作品であっても、印刷によって色合い・風合いがかなり異なってきます。
貸本屋となって、お好きな方に貸し出して皆さんに見ていただきたくなるぐらい。
製本のイタミをこえた良さだと思いますので、そういう点をわかってくださる方のもとにお届けしたいです。
私が言うべきことではないかと思いますが、この本を手にされた方、いつか次世代のどなたかに譲ってあげてくださいね。
チェコスロヴァキア(当時)で印刷されています。
中ページのシカの絵は、下の“AUS DES FORSTERS TASCHE(森に生きるものたち)”にも使われています。

ハードカバー 31ページ。サイズ天地22.2センチ×左右20.3センチ

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cover再入荷分、品切れ 英語版 Ryn,The Wild Horse(野生の馬・リン)
Bohumil Riha・作 Ilis Urwin・英訳 Mirko Hanak(ミルコ・ハナーク)絵

NY Doubleday&Company,Inc. 66年・初 3400円
B LIBRARY EDITION 図書館使用本 図書館のラベル・貸し出しポケットあり

リンは川辺でひとり育った子馬。
自分の影で遊んだり、リスを追いかけたり、とにかく元気いっぱいに育ちます。
ところが、元気すぎていたずらが過ぎ、
年老いた主人とともに住み慣れた街から追放されてしまって…。

1968年、ボローニャの国際児童書フェアでキャロル賞を受賞しました。

学校図書館で子どもたちが読んでいた本です。貸出票に鉛筆で子どもたちの記名があり、
代々この本を手にしてきた子どもたちが目に浮かぶようです。
好みは人それぞれでしょうけれど、人の手が触れ紙が柔らかくなった感じが悪くありません。
カバーはイタミをとどめるため、裏から紙を添えて全体にビニールをかけてあります
(日本の図書館でよく使う接着式のブッカーではありません)。

ハードカバー 103ページ。サイズ 天地22.2センチ×左右17.3センチ

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cover品切れ 英語版 Ryn,The Wild Horse(野生の馬・リン)
Bohumil Riha・作 Ilis Urwin・英訳 Mirko Hanak(ミルコ・ハナーク)絵

NY Doubleday&Company,Inc. 66年・初 3400円
B カバーなし おそらく図書館使用本 貸出票はありません

同じ本でも、この色合いの表紙は初めて見ました。ほかの本はカバーをはずしても白地だったのですが、エディション違い?
カバーはなく、ビニールカバーのみ(表2は本体に接着してあります)。
イタミがあった部分、補修あとが見られます。補修して本体表紙を変えて、
この装丁になったのかどうか? そうだとしたら、大変、手がこんだことです。

著者紹介は、上の本にも本書にもあります。Bohumil Rihaはチェコスロヴァキア(当時)の教員出身。
児童書を多数手がけ、第2次世界大戦後The Czech State Children's Book Publishing Houseのディレクターに。
66年、自著制作と旅をするため退社とあります。

ハードカバー 103ページ。サイズ 天地22.2センチ×左右17.3センチ


cover品切れ 英語版 Animal Folk Tales(動物の物語)
Barbara Ker Wilson・文 Mirko Hanak(ミルコ・ハナーク)・絵

PAUL HAMLYN 68年 6000円
Bー カバーヤブレ(補強のため紙を添え、上からビニカバ)布張り表紙下部少ヨゴレ 130〜131ページヨゴレ 裏見返しに日付スタンプ

かなり分厚い大型本です。1〜2見開きに1篇ずつの単位で動物にまつわる物語がおさめられ、全部で50篇以上。
シカ、キツネ、ウサギ、鳥、サル、クラゲ(目が不思議)、クモ、ヘビ、カタツムリ、アリ…ありとあらゆる動物が主役です。
「ウサギとカメ」「ブレーメンの音楽隊」と思われるお話もあり、ほかにも、ねことネズミがなぜ敵どうしになったのか、
クラゲはなぜ硬い殻をなくしたのか、などなど、世界中の物語がおさめられています。
ねこもあちらこちらに登場します。ハナークの描くねこはなぜかツメがつんつんにとがっていて独特。
表紙のように、トラの尾はなぜかものすごく長いです。
「ハナークが描く動物の絵は、世界中でもっともすばらしいものとされています。
動物の絵をぱっと見ただけで、物語の魅力を完璧に引き立たせてくれます」といった紹介文がカバーにあります。
チェコスロヴァキアで印刷されたもの。本体は布張り。

カバーはだいぶ破れてイタミが進んでいるのですが、裏側に紙を添えて補強し、上からビニール。
これ以上イタミが進まないよう手間をかけてケアされています。
手をかけメインテナンスされている様子に、古書を大事に受け継いでいこうとする人々の心を思います。

ハードカバー 141ページ。天地28.5センチ×左右21センチ

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cover品切れ ドイツ語版 ERZAHLUNGEN AUS DEM WALD(森の物語)
RUDO MORIC・文 Mirko Hanak(ミルコ・ハナーク)・絵

MLADE LETA 73年 4800円


これもRudo Moric(1921年〜85年)が物語を書いたもの。児童書のようです。
WALDは森。1篇めはSternchen。主役はシカです。2篇めはKuckuckの歴史。鳥たちのお話。
3篇めはハリネズミとKreuzoteer。ちょっと怖いヘビがあちらこちらに登場します。
毛虫やバッタなど昆虫もヘビも含め、生き物を愛情あふれる視線で観察し、迫力たっぷりに描いています。
色づかいがすばらしい。とりわけ、森の緑色が印象的に使われています。
チェコスロヴァキア(当時)で印刷されたもの。ハナークの良さをこれほど伝えられる印刷技術に拍手です。

ハードカバー 150ページ。サイズ 天地23.7センチ×左右21センチ

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cover品切れ 英語版 European Fairy Tales(ヨーロッパのおとぎ話)
Compiled by DAGMAR SEKOROVA and newly translated into English
Illustrated by MIRKO HANAK(ミルコ・ハナーク)

イギリス BROCKHAMPTON PRESS 71年 6000円
B 目次シワ 当時£1.25

First published in Great Britain 1971
Designed and printed in Czechoslovakia by Albatros,
Publishers for Children and young people,Prague

下の本と同じ書名で、同じ英語版ですが、表紙、背表紙など装丁が異なります。
こちらは英国で出版されたもの。

「シンデレラ」「長ぐつをはいたねこ」「赤ずきんちゃん」「眠れる森の美女」「3びきのこぶた」
「白雪姫」はじめ、よく知られているお話を19篇収録。
フランス、チェコ、デンマーク、ロシア、ドイツ、スロヴァキアなどヨーロッパ8か国のお話を集めてあります。
ハナークが描く赤ずきんちゃん、白雪姫の小人たち…なかなか妖艶で見ものです。
動物や子どもを描いた作品も良いですが、これはこれで、やはりハナークにしか描けない世界です。
文字も多いですが、フルカラーのイラストも多数。60点入っています。1ページ全面のイラストが5点。
英語なので読みやすく、ずっと手元に置いておきたくなる1冊。

ハードカバー 176ページ。天地24.4センチ×左右17.5センチ

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cover品切れ 英語版 European Fairy Tales(ヨーロッパのおとぎ話)
Compiled by DAGMAR SEKOROVA and newly translated into English
Illustrated by MIRKO HANAK(ミルコ・ハナーク)

NY LOTHROP,LEE&SHEPARD COMPANY 71年 5000円
B  カバーヤブレ 当時$5.95

First American edition 1971
Desiged,printed and bound in Czechoslovakia by Albatros,
Publishers for Children and young people,Prague

上の本と同じものですが、装丁が異なります。こちらはアメリカで出版されたものです。
画像でごらんのとおり、カバーにヤブレがあります。裏表紙もヤブレがあります。
それをのぞけば目だったダメージはなく、状態はそれほど悪くありません。
本体表紙は深いブルーの布張りに金のドラゴン?の型押し。

ハードカバー 176ページ。天地24.4センチ×左右17.5センチ

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cover品切れ チェコ語版 kde louky nejvic voni…(水辺のおはなし)
Mirko Hanak(ミルコ・ハナーク)・絵 Donat Sajner・文

プラハ Albatros 77年 4500円
B 当時19コルナ

チェコの子ども向けの絵本。湖畔で暮らすウサギ、カモ、魚たち、キツネの家族、鳥たち、シカ…
命あるもの、皆、食べるのに懸命なさまが伝わってきます。
昆虫があちらこちらに描かれています。蜘蛛の巣とクモなど、本物以上にリアルな感じ。
その場の気配をすくいとるかのように、みごとな観察力で描かれています。
文字は少なめで、その分、大きな絵と余白の妙を味わえる1冊。

ハードカバー 32ページ。サイズ 天地26.5センチ×左右20.8センチ

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cover品切れ ドイツ語版 Bilderzoo(絵本動物園)Alfred Konner・文 Mirko Hanak(ミルコ・ハナーク)・絵
ベルリン ALTBERLINER VERLAG 83年 3400円
C+ 背表紙イタミ 裏表紙ソリ 扉・裏や本文に少し落書き 本文イタミ・角ヤブレ セロテープ補修あと

プラハ・Albatrosから出版され、ベルリンで翻訳されたドイツ語版。
ハナークのイラストの(C)は66年、69年になっています。
上で紹介した“Hinter dem Staketenzeun”の復刻、再構成したニュー・バージョン?
翻訳、絵の順序、構成が大きく異なります。
英語版“Animal Tales”(70年)や「動物たちのおしゃべり」(山崎陽子)とも
同じイラストを使っていますが、本の作りはまったく異なります。
“bilderzoo”は英語でいえば“picturezoo”。46の動物が登場。動物にまつわるポエムとともに紹介された本。
見開きごとに、丸々1ページ使ってイラスト、ポエムに1ページなので、1ページ全面のイラストを楽しめます。
Alfred KonnerはWerner Klemke(ウェルナー・クレムケ)と組んだ“Der Rauberhase”
(当店で品切れ。チェコ動物の絵本に画像のみあります)など、児童書を多数書いています。
あちらこちら、だいぶイタミはございますが、本文や絵を楽しむには差し支えありません。
古いものならではの紙や印刷、風合いを味わってください。

ハードカバー 103ページ。サイズ 天地22センチ×左右19.7センチ

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2009年3月入荷分2008年9月入荷分
ミルコ・ハナーク 2007年1月入荷分・ミルコ・ハナーク その1・ミルコ・ハナークその2
新しめの本
動物と子どもと… その1その2動物の絵本 その1その2
SNDK 50年代ー60年代の絵本 その1その2
パノラマ絵本 ボード絵本とびだす絵本 アルティア 日本語版品切

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